衆院選の公示(12月2日)を前に、憲法学者や元政府関係者らでつくる「国民安保法制懇」が12月1日、東京都内で緊急記者会見を開いた。安倍内閣が7月、憲法解釈の変更により「集団的自衛権」の行使を容認する閣議決定をしたことに対して、「これまでの政府見解と論理的に整合性がない」「憲法9条と両立できない」と改めて撤回を訴えた。
記者会見に出席した柳澤協二・元内閣官房副長官補佐は「集団的自衛権の行使は憲法上、許されていない。また、安保保障政策の観点から言っても、日本の平和と安全確保のあり方を根っこから変えるおそれがある」と批判。「急きょ、解散・総選挙になった。集団的自衛権も、衆院選の争点の一つとして国民に訴えていきたい」と強調した。
●「このままの路線で進んでいくことを恐れている」
この日午後には、ユーキャン新語・流行語の年間大賞の発表がおこなわれ、「集団的自衛権」が大賞に選ばれた。この点について、記者から感想を求められた樋口陽一・東京大学名誉教授(憲法学)は「重大な内容が盛り込まれているにもかかわらず、十分伝わらないまま流行語として軽く受け止められていることに絶望的な感じがした」とため息をついた。
また、樋口名誉教授は「あらゆることに誠実でない仕方で対処している安倍政権のありようが、有権者の多くの人に伝わるようにしたい。決して特定の立場に立って、ということではない。このままの路線で進んでいくと、日本が積み上げてきたものが根こそぎなくなっていまうことを恐れている」と警鐘を鳴らしていた。