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2014年10月29日 10時06分

「窓がない脱法ハウスに住まざるを得ない人がいる」生活保護受給者の劣悪な住環境

「窓がない脱法ハウスに住まざるを得ない人がいる」生活保護受給者の劣悪な住環境
「もやい」理事の稲葉剛さんは受給者の住環境の問題点を指摘した

憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を送れるようにするため、生活に苦しんでいる人に対して給付される生活保護費。そのうち、食費や光熱費などにあてられる「生活扶助」の基準額引き下げを政府が進めている。すでに昨年8月と今年2月に引き下げがおこなわれ、来年4月に最後の引き下げが実施される予定だ。

なぜ、生活扶助の基準額は引き下げられたのか。政府は、その理由として「物価の下落」をあげる。しかし、生活保護の問題に取り組む弁護士や支援者などでつくる「生活保護問題対策全国会議」は、政府の根拠に異議を唱えている。東京都内で10月28日に開いた記者会見で、小久保哲郎弁護士は「私たちの試算では、2014年8月の物価は2011年と比べて5.13%上昇している。生活扶助基準はむしろ引き上げられるべきだ」と指摘した。

また、同じく引き下げが検討されている住宅扶助基準と冬季加算(暖房機の扶助)について、「いまでも充分な額と言えないのに、これ以上引き下げられたら命に関わる問題だ」と強く訴えた。

●「住宅扶助基準の引き下げは論外」

「引き下げの根拠としてあげられているのは物価の下落だが、実際はアベノミクスや消費増税の影響で、物価はどんどん上がっている。特に、食料の中でも生鮮食品や光熱・水道費など生活必需品ほど上昇率が高く、低所得者へのダメージが大きい。生活扶助基準額はむしろ引き上げられるべきだ」

小久保弁護士は、生活扶助基準について、このように説明した。さらに、ともに引き下げが検討されている住宅扶助基準に関して、次のように話した。

「生活保護受給者の多くは、老朽化した、耐震性にも問題がある住宅に住んでいる。劣悪な住環境の改善こそが急務であり、住宅扶助基準の引き下げなど論外だ」

●「うなぎの寝床のような家に住んでいる」

生活保護受給者の住環境は、どうなっているのだろうか。生活保護受給者で車いす生活をしている男性は、次のように心境を語った。

「(東京都の)23区内に住んでいるが、家賃が高い。6万円程度の住宅扶助で、うなぎの寝床のような家に住んでいる仲間がたくさんいる。狭い部屋で過ごすと、非常に圧迫感を感じる。こうした中で生活扶助の引き下げとなると、どう生活していけばいいのか不安だ」

単身で6万円なら、都心でも普通の家が借りられる。だが、この男性のように、身体障害があるケースでは、介助を受けたり、日々の生活を送るうえで、より広めのスペースが必要になってくる。しかも、介助者に来てもらうためには、比較的便利な場所に住む必要がある。

●「脱法ハウス」に住まざるを得ない人も

国交省が2014年7月にインターネットで実施したアンケート調査によると、面積が7平方メートル未満、もしくは窓がない物件に住む人の11%が、生活保護受給者だったという。

ホームレスや生活保護受給者の自立支援を行う団体「もやい」理事の稲葉剛さんは、「現在の住宅扶助基準でも、こうした劣悪ないわゆる『脱法ハウス』に住まざるを得ない人がいる」と指摘する。

また、稲葉さんによると、現在の住宅扶助基準は、多人数世帯にとって、相当シビアだという。東京の都市部の場合、2人以上6人までの世帯は6万9800円となっているというのだ。家賃7万円で6人世帯が暮らせる家を、東京の都市部で見つけることは、ほとんど不可能だろう。

「子どもがたくさんいるような世帯でも、狭いワンルームにしか住めない。管理費や共益費を住宅扶助でまかなえず、生活扶助から持ち出している人もいる。その分、食費などを切り詰めることになる」

●「住宅扶助基準の引き下げは命に関わる問題」

稲葉さんは、住宅扶助基準の引き下げが行われれば、それによって、「生活保護受給者が命を落とす可能性もある」という。

どういうことだろうか。稲葉さんは次のようなエピソードを紹介した。

2011年11月、東京都新宿区にある木造賃貸アパートで火災が起き、死者が出た。そのアパートは老朽化が進み、他の人は見向きもしないような物件だった。このアパートは、入居者23人のうち19人が生活保護受給者だったという。

また、阪神大震災の際、生活保護受給者の死亡率は、一般の5倍に及んでいたという。

稲葉さんは「これ以上住宅扶助基準を下げると、火災のリスクが高く、地震などの災害に弱い住宅にしか住めなくなってしまう。住宅扶助基準の引き下げは、命に関わる問題であることを知らしめてほしい」と、集まった報道陣に呼びかけていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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