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「冤罪被害者の救済に逆行する」法制審内部から異論噴出、再審制度見直しは「原点に立ち返れ」
再審制度見直しを議論する法制審議会・刑事法部会の委員を務める村山浩昭弁護士(2024年3月、東京都内で、弁護士ドットコムニュース撮影)

「冤罪被害者の救済に逆行する」法制審内部から異論噴出、再審制度見直しは「原点に立ち返れ」

「これまでの議論を適切に反映したものとはなっていないばかりか、冤罪被害者の救済に逆行し、再審法の改悪になりかねない」

裁判のやり直しを認める「再審」制度の見直しについて議論している法制審議会で、内部から「待った」の声が上がっている。

法制審議会 刑事法(再審関係)部会の委員をつとめる鴨志田祐美弁護士、村山浩昭弁護士、幹事をつとめる田岡直博弁護士の3人が、部会の事務局が示した「今後の議論のための検討資料」について、強い懸念を表明した。

●袴田さんなどの冤罪がきっかけも…法制審に批判相次ぐ

再審制度をめぐっては、静岡県の袴田巌さんや福井県の前川彰司さんなど、取り返しのつかない冤罪事件が相次いだことを受け、見直しの議論が始まった。

2024年3月には、超党派の国会議員による「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟(議連)」が発足。

再審請求をする側が、捜査機関に対して証拠の開示を求められる制度の整備や、裁判所が再審開始を命じた場合に検察側の不服申し立てを禁止することを盛り込んだ改正案をまとめた。

しかしその後、法務大臣の諮問機関である法制審も見直しの議論を開始。これまでに13回の会議が開かれてきたものの、証拠開示や検察官の不服申立て禁止に慎重、消極的な意見が多く、冤罪被害者や専門家から批判や懸念が続出している。

そうした中、12月16日の会議で、部会の事務当局から委員らに「今後の議論のための検討資料」が配布されたという。

この資料について、鴨志田弁護士ら3人は「これまでの議論を適切に反映していない」として、緊急の意見を表明した。

●「国民の代表者である議連の意見が尊重されるべき」

3人は部会に提出した意見書の冒頭で「現行法上の再審請求手続きに証拠開示や審理手続きに関する規定がないことにより、また再審開始決定に対する検察官の不服申立てにより、むこの救済が著しく遅れ、そのためにえん罪被害者のかけがえのない人生と尊厳を奪ってきたという立法事実を、あまたの具体例とともに示してきた」と説明した。

超党派の議連が作成した改正案は、検察官による不服申し立ての禁止や、再審請求人が証拠の開示を請求した場合に、裁判所が原則として検察官に開示を命じなければならないとする「義務付け」規定を盛り込んでいる。

一方、法制審の刑事法部会では、検察官の不服申し立て禁止や証拠開示「義務付け」について、消極的な意見が目立っている。

こうした状況について、3人は意見書で、議連の法案が最高裁や法務省、日弁連、冤罪被害者などにヒアリングをし、衆議院法制局の審査を経て作成された経緯に言及。「議連法案を私達は全面的に支持します」と明言した。

そのうえで、証拠開示や検察官の不服申し立て禁止などの重要な論点について「国民の代表者である議連の意見が尊重されるべきであり、これに沿った答申がなされるべき」とうったえた。

●「結論を急ぐあまり拙速」、運営の進め方も問題視

部会の運営自体についても、3人は「結論を急ぐあまり拙速との批判を免れない」と指摘した。

12回目の会議終了からわずか3日後、議事録案が提供されていない段階で、事務当局が「今後の議論のための検討資料」を提示したことについて、「次の段階の議論に備える時間すら与えられないうちに提示されたものであり、2巡目の議論を真摯に振り返った結果なのかさえも疑問があります」と問題視した。

意見書は最後に、法制審の議論を多くの国民が「固唾をのんで見守っている」としたうえで、次のように呼びかけている。

「本部会の委員・幹事の1人1人が、今一度立ち止まって、再審制度の見直しが必要と考えられるに至った原因は何だったのか、その原点に立ち返り、そこから議論することを強く望んでいます。それこそが、本部会の使命ではないでしょうか」

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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