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2014年07月26日 14時51分

「留置場はひどいところだった」 ろくでなし子さん、外国記者の質問に答える(全文)

「留置場はひどいところだった」 ろくでなし子さん、外国記者の質問に答える(全文)
外国特派員協会(東京・有楽町)で会見にのぞんだ「ろくでなし子」さん

自らの女性器をスキャンし、3Dプリンターで出力するためのデータをつくって配布したとして、「わいせつ電磁的記録媒体頒布」の容疑で逮捕され、その後、釈放された芸術家ろくでなし子さんは7月24日、外国メディア向けの記者会見を開いた。

ろくでなし子さんによるスピーチに続いて行われた質疑応答では、米国を始めとする海外メディアの記者からさまざまな質問が飛んだ。弁護団の山口貴士弁護士が通訳と法的説明を行なうかたわらで、ろくでなし子さんは逮捕時の様子や留置場での体験について、率直に答えていた。

記者とろくでなし子さんとの質疑応答は、次のとおり。

(1)外国女性記者

――この事件は世界的に注目を集めている。日本では性表現産業が大きな産業になっていて、性の商品化もたくさんある。それなのに、女性器の型をとってスキャンして、データとして配ることができないというのは明らかな矛盾に思えるが、どう思うのか?

ろくでなし子:「私もすごく日本は矛盾していると思います。たとえば、電車の中吊り広告では、子どもやいろんな人が見る場で、わいせつな文章の広告が堂々と出ていて、見たくもないのに見させられることが不愉快です。一方で、まんこそのものに悪いイメージを与えて、それがいけないものみたいにしています。その見方がとても男性目線で、女性の主体性が全くないんです。それがおかしいと思って、活動してきました」

(2)外国男性記者

――2つ質問がある。1つ目は、なぜこの時期に摘発されたのか。事前に警告があったのか。2つ目の質問は、安倍首相が女性の社会参加を推進しているけれど、その流れに対して今回の摘発がどういう影響を与えるのか?

ろくでなし子:「何の警告もなく、突然の逮捕でした。去年から大手出版社の週刊誌がしょっちゅう女性器特集という変な特集を組んでいて、その中にはこの活動を取り上げてくれた雑誌もあったんですけど、私の作品以上に、週刊誌のほうで、まんこをテーマにしたことをやっていました。その中で3Dスキャンしたというのもあったんですけど、なぜか私が逮捕されました。(2つ目の質問について)安倍政権になってからとても右傾化しているように感じていまして、80年代の日本の女性はもっと元気だったと思うんですけど、どんどん保守的になっているように感じます。今回の件も、そういうのが少なからず影響したんじゃないかと思います」

(3)フランス10・男性記者

――選挙に出て訴えるとか、最高裁まで争うとか、芝居や自分のアートで、逮捕の不当性を訴えをするつもりはあるのか?

ろくでなし子:「起訴されたら、最高裁までは頑張る。信念は貫きたい」

――選挙に出る気はあるか?

ろくでなし子:「まんこ党・・・ですか?(笑) 弁護士さんと相談します(笑)」

(4)フリー女性記者

――自分の性器に整形手術を施したと聞いた。なぜなのか?

ろくでなし子:「日本では性器にモザイクがかけられて、どういうものかがわからないんです。モザイクをかけられているので、私は他の人がどういう形なのかもわからなかったんですよ。ネットで検索すれば出てくるという知識がなかったので、自分の形が人より変なんじゃないかという悩みを抱えていました。それで整形手術をしたんですが、整形した後で、別に私の形は特に異常じゃなかったということに気づきました」

(5)フリー・江川紹子

――クラウドファンディングについて、警察や検察が誤解しているんじゃないかと言っていたが、売ったものではないのに、売ったとみなされたという意味か?

ろくでなし子:「逮捕されたときに罪状を読んだところ、この人たちはクラウドファンディングのことを理解してないなと思って説明したんですけど、何回説明しても分かってなくて、2回目の供述くらいでやっと理解したんです」

――どういう人に送ったのかについて、もう少し正確に教えてほしい。

ろくでなし子:「3Dまんこデータのダウンロードができる7日間限定のURLを、キャンプファイヤーというクラウドファンディングのメーラーから、3000円以上(寄付)の方に一斉送信することができるんですけど、それで送りました。また、キャンプファイヤーで、私のプロジェクトに賛同してくれた方がお金を入れてくださったので、私のまんこはわいせつじゃないという考え方に賛同してくれている方に私は送っているつもりですし、向こうもそう思っていると理解しています」

――クラウドファンディングで募金をするときに、3000円以上寄付してくださったら、こういうものを差し上げますよというのは、事前に報告していた?

ろくでなし子:「はい。事前に、キャンプファイヤーのプロジェクトページがありまして、そこで全部、500円以上の人はこれというように、リターンが全部書いてあります」

――そのダウンロードは、してもしなくてもいいのか。個人に任される?

ろくでなし子:「はい。7日間のあいだに、その方が開かなかったら見られません」

(6)ロイター通信

――ろくでなし子さんはいま、法的には、どんな状況にいるのか?

山口貴士弁護士:「裁判官から出された勾留決定に対して、弁護団は『準抗告』という手続きをとりました。裁判所はこの準抗告を受け入れ、勾留決定を取り消しました。それによって、彼女は釈放されました。参考までに、彼女はまだ起訴されたわけではありません。日本では、起訴前の『保釈』はありません」

――警察から釈放前に、騒ぎを起こしたら、もう一度逮捕するぞとか、もう描くなとか、おどかされたか?

ろくでなし子:「釈放のときには、何もないですね。取り調べのときには、そういう感じの話をされましたが」

――どんな風にこの事件がおわってほしいか。この事件を通じて、どう世の中が変わってほしいか?

ろくでなし子:「私は誰にも阻止されず、まんこアートをまた続けていきたいので、そのようにできるように、不起訴を願っております。この事件をきっかけにして、このように海外・日本国内でも、ツイッターなどでかなり議論になりましたが、いままでずっとまんこは無視されてきたので、とても有意義だったと思います」

(7)USAトゥデイ

――基本的な事実関係について、電子メールが送られたのはいつか? お金を受け取ったのはいつか?

ろくでなし子:「3Dマンボートプロジェクトは、2013年9月にサクセスしましたので、データを送ったのはたぶん、昨年10月とか11月とかだったと記憶しております。(容疑の)2014年3月の時点のお話は、クラウドファンディングで募金をしてくれた人が、さきほど話した7日間限定のURLを開かなかった人もいて、のちほど『もらっていない』という人から、直接ホームページにお問い合わせがきたんですね。

私も誰だったか、アカウント名とかだったりするのでちゃんと把握していないのですが、クラウドファンドに出資したけどもらってないという人には、送るようにしたんですね」

――つまり、摘発容疑は3月の再送信のときの話だった?

ろくでなし子:「おそらくそうだったのですけれども、警察は最初からメールでデータを送っているという体で逮捕していたようなので、最初は全然話がかみ合わなくて・・・。全部、私が警察に説明し直した形です」

山口弁護士:「少し差し挟みますが、逮捕時と勾留決定時で、被疑事実が少し違うように思われます。警察はおそらく逮捕時には誤解をしていて、後に変更したのだと思います。ただ、残念ながら日本の司法システムでは、弁護士は勾留状を見ることはできますが、起訴前に逮捕状をみることはできません。したがって、確証はありません。

逮捕には令状が必要です。逮捕状では、被疑事実が特定されている必要があります。身柄は逮捕後48時間以内に検察に送られ、検察は24時間以内に釈放するか、裁判所に勾留請求するかします。逮捕と勾留には2種類の違う令状が必要です。法的には、被疑事実が同じである必要があります。いずれにしても、勾留は取り消されたので、いまさらそこは問題になりませんが」

――身柄拘束は6日間? 準抗告で釈放された?

ろくでなし子:「はい、そうです」

――今後はどうなる?

山口弁護士:「手続き的には、捜査は続いています。検察は彼女を起訴するか、不起訴にすることになります。すでに彼女は釈放されていますので、タイムリミットはありません」

――クラウドファンディングを利用するのは初めて? そして最後になる?

ろくでなし子:クラウドファンディングを利用したのは、『マンボート』プロジェクトが初めてです。(今後も)やっていきたいです。

(8)フリー女性記者

――勾留中の生活について質問させてください。

ろくでなし子:「まだ犯罪者と確定したわけでもないのに、留置場というのは、とても人権を無視した酷いところでした。

検察庁と裁判所には護送車に乗っていくんですけれども、そこの待ち合わせる場所が、ものすごく狭~い部屋。そこに、10人ぐらい押し込めて、すぐそこはお手洗いなんですけど、そこで手錠をずっとかけたまま、木の堅い椅子に6時間以上すわっていないといけないんですよ。

ご飯をたべるときは、検察庁だと片手にしてもらえるんですが、裁判所で待っているときは手錠をつなぎっぱなしで、パンを食べないといけなかったり・・・。

その部屋っていうのは、クーラーがなくて扇風機しかないんですよ。トレーナーなどを着ていくととても暑いんですが、脱ぐと怒られるんですね。

その手錠も、すごく限界ギリギリまでぎっちり付けられて、指がしびれていたいとか言っても、ガマンしろとかいわれて、なかなか緩めていただけなかった。

お風呂に、この夏の季節に、週2日しか入れないんですよ。

あと、私は痔持ちなんですけれども(笑)、トイレで、痔がちょっと痛いんでボラギノールとかくださいっていったんですが、そんなものはないと言われ・・・。痔の人はどうしたらいいんですかって言ったら、月2回の健康診断の日まで待てと言われました。

あとですね、いろいろな病気を持っている方とも部屋が一緒になってしまうんですが、たとえば、水虫を持っている人とかと同じ部屋になったりして、とても移ってしまうんじゃないかと不安と怖さがあります。

まだ、いろいろあるんですけれども・・・マンガにします」

(9)フランス10・女性記者

――3Dプリンタ用データが「わいせつ」だとされて摘発されたのは初めてだということですが、3Dまんこデータの流通が社会全体の風俗を乱すと思いますか?

ろくでなし子:「思いません。わいせつとか嫌らしいものというのは、性行為をほうふつとさせる、挿入とか、セックスしているものそのものとか、そういう欲情させるものだと思っているんですけれども、単に性器の一部分をきりとったもので、はたしてそれがわいせつかどうか、私は全くそう思っていません」

――報道で、自称アーティストとされたことについて、どう思いますか?

ろくでなし子:「絶対、自称芸術家とかって書かれるんじゃないかなっていうのは思っていたんです。そのぐらい、(警察から)酷いことをもっとされていたので、それぐらい言うだろうとは思った。

なので、若干あきらめていたんですけれども、外に出てきたときに、多くの方がそれについて怒ってくださっていたことに逆に私がびっくりして、嬉しかった」

(10)ロイター

――作品は没収されたままですか? どうしてほしいですか?

ろくでなし子:「作品はほとんど押収されてしまいましたので、傷を付けないで早く返してほしいです。(手のひらサイズの人形を見せて)これはわいせつじゃないということで、これは持って行かれなかったんですけど、あとはすべて持って行かれて、押収したときの梱包の仕方もすごく粗雑だったので、逆に私が一緒に手伝っちゃったりとかして・・・くるんだりとかして(笑)」

(11)江川紹子

――ひとつは弁護士さんに。それは、お金のやり取りのことを誤解していた話の続きなんですが、罪名っていうのはお金のやり取りがあるかどうかで、犯罪が成り立つか成り立たないかに関係するのでしょうか?

山口弁護士:「しません。関係ありません」

――自分は「わいせつではない」と思っている人に送っているんだからという話がありましたけれども、それはやりとりで確認をしたのですか。それとも、趣旨に賛同してくれたから、そういう人は女性器をわいせつだと思わない人だと、信頼したということ?

ろくでなし子:「プロジェクトに募金を入れてくれたということは、趣旨に賛同してくれた方と理解して送りました。また、プロジェクトが終わったあとにも、関係ない人たちが、まんこみせてみたいな感じで、データほしいみたいなメールも来たんですけれども、そういうものには一切、返しておりません」

(弁護士ドットコムニュース)

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