理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーが早稲田大学の大学院時代に提出した「博士論文」について、早稲田大学の調査委員会は「著作権侵害行為などの不正はあったが、学位授与に重要な影響が与えたとまではいえないため、学位取り消しには該当しない」という判断を下した。
この調査委員会の報告を受けて、早稲田大学の鎌田薫総長は7月17日、東京都内のホテルで記者会見を開いた。弁護士ドットコムの記者が、今回の調査委員会の認定の妥当性について質問すると、鎌田総長は明確には回答せず、「博士論文および博士学位をどうすれば最適解が得られるかということについては、大学が最終的に判断することなので、これを踏まえて早急に検討したいと思っている」と述べるにとどまった。
弁護士ドットコムの質問と鎌田総長の回答は、以下の通り。
●「早稲田の信頼を回復するためにはどうしたらいいかが、最大の課題」
――インターネット上の反応をみると、今回の早稲田大学調査委員会の認定に対して、批判が非常に多いです。たとえば、早稲田大学の専任教員を3年間勤めたことがあるという人は「この決定は慚愧に堪えません。『早稲田』を誇りに頑張ってきた卒業生、特に早稲田から送り出された博士の方たちの価値を貶める効果を持ってしまうと思うのです」と述べています。「早稲田の学位はそんなものだ」という声もあります。このような批判に対して、総長はどのようにお考えでしょうか?
鎌田:「調査報告の内容とそれらの批判の内容を十分に検討しないで、印象論を語ることは、ちょっと避けさせていただきたいと思っています。我々はいずれにしても、早稲田の研究指導・論文指導体制に対する信頼を回復していくためにはどうしたらいいかということを最大の課題として、これから早急に検討を進めていきたいと考えています」
――「信頼を回復」という話をされました。まずは今回の認定や処分が、早稲田大学の信用をはかるモノサシになると思いますが、今回の認定で大丈夫なのでしょうか。というのは、調査委員会の配布資料をみると「仮に審査体制に不備がなければ、小保方氏に対して博士学位が授与されることは到底考えられなかった」と書かれています。それなのに、なぜ「学位取り消しに該当しない」という判断になっているのか。そこが理解不能なんですが・・・
鎌田:「到底考えられなかったというのは、どの部分をとらえていってるのか・・・。ここは断片的記述ですので、そこをきちんと見たうえで、さきほど申し上げたように、博士論文および博士学位をどうすれば最適解が得られるかということについては、大学が最終的に判断することですので、これを踏まえて早急に検討したいと思っています」