理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーの「博士論文」をめぐり、海外サイトなどの文章や画像の盗用が疑われていた問題で、早稲田大学の調査委員会(委員長・小林英明弁護士)は7月17日、小保方リーダーの行為は学位取り消しにあたらないとする調査結果を公表した。
早大調査委は、博士論文に関して、小保方リーダーが「不正の方法」を用いたと認定したが、それが学位授与に「重要な影響を与えたとはいえない」として、学位取り消しを定めた内規に該当しないと判断した。
小保方リーダーは2011年、早稲田大学先進理工学研究科の博士後期課程を修了。工学の博士号を取得している。小保方リーダーの論文をめぐっては、今年1月に英科学誌「ネイチャー」に掲載されたSTAP細胞の研究論文について、画像の切り貼りなどの不正行為があったと、理研の調査委員会が認定している。さらに、3年前に大学に提出された博士論文にも不自然な記述があると、インターネットなどで指摘されていた。
こうした状況をうけて、早稲田大学は2月中旬に内部調査を開始。3月からは、学内外のメンバーを入れた調査委員会を設置し、小保方リーダーの博士論文や、同校の指導体制や審査過程について、本格的な調査をすすめていた。
ネットでは、英語で書かれた論文約100ページのうち、冒頭の約20ページが、米国立衛生研究所のウェブサイトに掲載された文章に酷似していると指摘されていた。また、実験結果の画像についても、別のサイトからの流用が疑われていた。
今回の調査結果をうけて、早稲田大学の鎌田薫総長は「早急に精読した上で、委員会の報告結果を十分に尊重しながら、本学としての対応を決定したい」というコメントを発表した。