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想田さんと柏木さんが別姓で婚姻届、千代田区はまたも不受理 「法の矛盾解消を」家裁に不服申し立て
婚姻届の不受理証明を手にする想田さん(左)と柏木さん(2022年6月13日/弁護士ドットコム撮影)

想田さんと柏木さんが別姓で婚姻届、千代田区はまたも不受理 「法の矛盾解消を」家裁に不服申し立て

アメリカで別姓のまま法律婚をした映画監督の想田和弘さんと舞踏家で映画プロデューサーの柏木規与子さんが6月13日、東京都の千代田区役所に「夫婦別姓」の婚姻届を提出したが、不受理となった。

2人は米ニューヨーク州で1997年に法律婚をしている。海外で法律婚した場合、日本で婚姻届を提出しなくても、国内でも婚姻が成立していると認められる(法の適用に関する通則法24条2項)。このため、2人は2018年6月にも千代田区役所に婚姻届を提出したが、「夫婦別姓」を求めたことから、受理されなかった。

そこで2人は、海外で法律婚した夫婦が日本の国籍に別姓のまま婚姻が記載されないのは法の不備があるとして、国を相手取り提訴。東京地裁は2021年4月、国内でも2人が別姓のまま婚姻関係にあることを認めながらも、戸籍の記載は訴えを退ける判決が下された。

想田さんは今回、その判決文やニューヨーク州での結婚証明書とともに婚姻届を提出し、別姓のままの戸籍作成を求めていた。選択的夫婦別姓制度の導入を求める声が高まる中、2人の婚姻届が受理されるか、注目が集まっていた。

●千代田区「国会で議論進めてほしい」

この日、東京・九段下にある千代田区役所を訪れた想田さんと柏木さんは、裁判を支えてきた弁護団とともに、夫婦の氏を選ぶ欄に双方の氏にチェックをした婚姻届を提出した。しかし、千代田区は夫婦同姓を規定する民法750条や戸籍法74号1号に違反するとして、受理しなかった。

千代田区役所に婚姻届を提出する想田さんと柏木さん(提供写真)

その後、会見にのぞんだ想田さんは、法律に不備があることをあらためて指摘した。

「僕らは地裁に提訴して、婚姻は日本でも有効であると判決に書かれています。それにもかかわらず、婚姻届は受理されない。千代田区としては、民法や戸籍法にのっとって処理するしかないということでした。婚姻が成立しているにもかかわらず、戸籍に記載できないのは日本の法律に矛盾があるということです。この矛盾を正してほしいと思います」

2人は婚姻届を提出する前に、千代田区の樋口高顕区長と面会したという。

「区長は僕らの立場に共感し、理解をしてくださっていますが、区としては法律にのっとって、事務処理をしなければならない。国会で立法措置の議論を進めてほしいとおっしゃっていました」(想田さん)

婚姻届は不受理となったが、一方で4年前に提出した時に比べて、世論の高まりも感じているという。

「別姓を選びたい人たちは困っています。世論調査でも、選択的夫婦別姓に賛成または容認している人たちは半数以上になり、世論は熟していると思います。国会は日本国民のためにあるわけですから、日本国民の声を聞いて、同姓は同姓、別姓は別姓と、それぞれ選べるようになってほしいです」(想田さん)

2人の氏にチェックを入れた婚姻届

●「想田の妻」と呼ばれる日本

夫婦別姓が選べないことによって、戸籍上で婚姻状態にあることを証明できないという想田さんと柏木さんは、どちらかが重篤な病気になった場合に、医療への同意にサインできるのかなど、支障を感じている。「今後、どちらかが先に死んだときに、相続の問題が出てくると思います」と柏木さんは話す。

また、柏木さんは日本に帰国するとその「違い」を感じるという。

「ニューヨークでは誰も私が想田の妻であることを知らず、仕事をしてますが、日本に戻れば、想田の妻と呼ばれます。ジェンダー不平等の社会を実感しました」

想田さんも、「柏木が普段経験していることを僕に話してくれるので、だいぶ意識が変わってきました。例えば、僕が想田ですって自己紹介しているのに、柏木の夫と呼ばれたら、違和感を持ちますよね。そういう場面に、多くの女性が立たされていることを実感するようになりました」という。

「僕らは結婚しても同化するのではなく、それぞれの人格や歴史を尊重しようという結婚観を持っています。そうした人たちは多いと思います。それが法律上、許されていないのが現状です。

人間は、一人ひとり違います。お互いを尊重していけるような社会を実現していきませんか、と思っています。そういう社会になれば、生きる上での息苦しさもなくなるのではないでしょうか」

●夫婦別姓婚求める人たちに大きなステップ

会見に同席した選択的夫婦別姓訴訟の弁護団、寺原真希子弁護士は次のように、その意義を説明した。

「今回の試みには、2つの大きな意味があります。1つは、お二人と同じ境遇にある、海外では問題なく暮らしているが、日本では不安定な状態にあるご夫婦は決して珍しくはなく、司法と国会との間の矛盾を解決してほしいということです。

もう1つは、日本で別姓のまま結婚したいと訴えている人たちの問題がもう何十年も続いています。あらためて、この問題を考える上での一石になると思います」

弁護団によると、想田さんと柏木さんのように、海外で別姓のまま法律婚し、国内でも婚姻状態にあることを認めてほしいと望むカップルが増えてきているという。

「もしかしたら、別姓のまま海外で結婚して、日本の戸籍にもきちんと別姓で記載されるというルートが一つ、開かれるかもしれません。一つのステップとして、僕たちのケースがその踏み石になれれば、意義があると思います」(想田監督)

2人は6月中にも、戸籍法122条に基づき、東京家庭裁判所に対して不受理処分に対する不服を申し立てる予定という。

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