どんなに警告してもなくならない駐車場や私有地への無断駐車。被害を被っている人の中には「無断駐車したら●万円」など、独自のルールを掲示することもある。しかし、法的には問題がないのか。
都内屈指の繁華街・六本木付近にも、さまざまな掲示が並んでいる。建物や店の私有地への無断駐車(駐輪)に対して、2〜3万の支払いを求める警告文もある。
過去には、無断駐車に対して「罰金4万円とタイヤロックする」と警告を掲示したコンビニもあった。無断駐車が悪いことは疑いようがないものの、このような措置は、法的には有効なのか。もし無断駐車してしまった場合には、支払う義務はあるのか。鬼沢健士弁護士に聞いた。
●従わないといけない?
「法的には、実際に発生した損害額のみを賠償すればいいとされています。無断駐車によって2〜3万円分の損害が発生したことを証明しないと、オーナーが損害賠償を請求することはできません。
なお、無断駐車した場合には、警告の張り紙を根拠に、損害賠償の合意(民法420条)があったとみる余地はあるかもしれませんが、無断駐車する人との間で合意が成立したといえる場面はほぼないでしょう」
ーー過去には罰金に加え「タイヤロックする」とも宣言したコンビニもありました。
「車両を勝手にロックする行為は、物の効用を害する行為、つまり、物を使いものにならなくする行為にあたり、器物損壊罪(刑法261条)にあたる可能性があります」
●「駐車場のオーナーを守る法整備がなされてもいい」
無断駐車や無断駐輪に悩む人は、どのように対応すれば良いのでしょうか。
「無断駐車や無断駐輪は許されるべきではありません。たとえば、病人を乗せた救急車が、無断駐車に行く手を阻まれるなどして、想定外の被害が発生することもあり得ます。迷惑ですから、絶対にやめましょう。
無断駐車をされた場所の所有者や管理人は、損害賠償を得るのも困難であり、車両をロックすると加害者になってしまうという、非常に気の毒な立場です。
無断駐車のリスクが軽すぎる反面、無断駐車をされる側の負担が重すぎる事態は否定できず、個人的には、もう少し無断駐車をされる側を守る法整備がされてもいいと思います」