日本の入国管理局(入管)における被収容者の待遇が問題視されている。2014年11月下旬には、東京入国管理局の施設に収容されていた外国人男性が、体調不良を訴えたのに診察を受けられずに死亡した。
報道によると、亡くなったのは、50代のスリランカ人男性。2014年11月中旬に観光目的で来日したが、滞在が許可されず、東京・港区の東京入国管理局の施設に収容された。同月22日午後1時ごろ、収容されていた部屋で意識不明の状態で見つかり、救急搬送先の病院で死亡が確認された。
男性はその日、午前中から激しい胸の痛みを訴えていたが、入管は医師の診察を受けさせるなどの対応を取っていなかったようだ。今回、入管の対応には問題はなかったのだろうか。入国管理に関する人権問題にくわしい指宿昭一弁護士に聞いた。
●看護もせず放置、許されることではない
「入国管理局は、収容する外国人の身体の不調に対して、適正な診療等の対応をする責任があります。この責任が果たせないなら、外国人を収容する資格はありません」
指宿弁護士はこう切り出した。
「入管の医療体制の不備については、以前から、日本弁護士連合会などの団体から強い批判がありました。また、入管自身もその医療体制に不備があることを認めています。常駐する医師がいないのです」
そんな中で起きた、今回の死亡事件。本人は胸の痛みを訴えていたのもかかわらず、診察が受けられなかった。
「医師不在のために診察を受けさせられなかったことは、たしかに問題です。しかし、医師がいないのなら、速やかに救急車を呼んで外部の医療機関に搬送すべきでしょう」
常識的に考えれば、救急車を呼ぶのではないか。
「外国人支援団体の調べでは、入管は、痛みを訴えるスリランカ人を、雑居房から監視カメラ付きの独居房に移し、看護のための職員も付けずに放置したことが分かっています。これは、許されない行為です。『収容されている外国人の生命と人権を守る気がない』と批判されても仕方がないと思います。
入管は、今回の事態を真摯に受け止めるべきです。すみやかに常駐の医師の配置を検討する一方で、緊急事態には必ず救急車を呼ぶことの確認などを行うべきです。それができないなら、ただちに、外国人の収容を止めるべきです」
指宿弁護士はこう強調していた。
人の命がかかった話だ。法務省はすぐに対応するべきだろう。