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自宅を旅人に貸す「AirBnB」が人気――有料で部屋を貸すのは「旅館業法」違反?
旅行の際、宿泊代は安く抑えたいと思う旅行者は少なくないはずだ

自宅を旅人に貸す「AirBnB」が人気――有料で部屋を貸すのは「旅館業法」違反?

自分の家の空いている部屋に、有料で誰かを泊めたい人と、泊まりたい人を結びつける宿泊マッチングサイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」が注目を集めている。世界192カ国、3万4000都市に広がっていて、東京だけでも1000件以上の物件が登録されている。

サイト上には、場所も大きさも料金も、さまざまな部屋がずらりと登録されている。宿泊したい物件が見つかったら持ち主に連絡をとって、合意したら「予約」が成立する仕組み。やり取りやお金の受け渡しなどは、サイト上で行えるという。

2020年の東京オリンピックをひかえ、「空き部屋」を観光客向けの宿泊施設として利用したいという人も、少なからず出てくるだろう。だが、そもそもお金を取って他人を個人宅に泊めることは、法律上OKなのだろうか? 国際旅行法学会の会員で、国内・国外の旅行やホテルに関する法律にくわしい金子博人弁護士に聞いた。

●「旅館業法に抵触する可能性がある」

「Airbnbは、2008年8月にサンフランシスコで創業しましたが、安く宿泊できるとして、今やバックパッカーの間では知らないものはないという存在になりました。最近は、普通の旅行客の利用も増えているといいます」

このように金子弁護士は切り出した。

「Airbnbを利用して部屋を貸している人は、単に空いている部屋を貸すだけでなく、ガイドをしたり、食事を一緒にしたり、現地のさまざまな情報を提供するケースもあるようです。

また、長期滞在型など、旅を豊かにし、友達を増やす目的で利用されている場合も多いようです。新しい旅のスタイルを生み出すものとして注目されていて、すでに、類似のサイトも、いくつか運営を開始しています」

旅行をめぐる新しい流れとして、金子弁護士も注目しているサービスだというが、法的に見るとどうなのだろうか?

「Airbnbのようなサイトを利用して、個人が部屋を貸す営業は、現行の旅館業法が想定していなかったものですが、現時点では、反復継続して行えば、旅館業法に抵触するといわざるを得ません。

旅館業法では、『宿泊料を受けて人を宿泊させる営業』をホテルや旅館として、広く規制対象にしているからです。

広告・予約受付・料金決済などは、サイトを通じて行うとしても、『部屋を提供する人が、宿泊料を受け取って、人を宿泊させている』ことには間違いありません。

となると、適法に営業するには、旅館業の経営許可が必要ですし、食事を提供するならば食品衛生上の手続きも必要となります」

つまり、お金を取って、他人を部屋に泊めるためには、旅館業の許可をとる必要があるということだろうか。

「そうですね。ただし、旅館業の許可をとるのは、実際には困難です。

旅館業法では、建物の構造設備に細かい基準があるだけでなく、部屋数がホテルだと10室以上、旅館は5室以上という制約もあります。簡易宿泊所というカテゴリーもありますが、これは、多人数で部屋を共用するタイプで、延べ床面積が33平米以上必要です。

つまり、Airbnbで部屋を提供するものの大部分は、どのカテゴリーでも不適合となるでしょう」

●いまは「大目にみられている」状態

そうなってくると、個人がAirbnbを利用して、空き部屋を貸すことは、法律的にはかなり難しそうに思える。

「法的にはそうですね。ただし、Airbnbがこれだけ広まっても、特に取り締まりを受けたという話も聞きません。いまは、監督官庁が大目にみている状態でしょう」

もしかしたら今後は法規制が厳しくなるのだろうか? 金子弁護士は次のように話していた。

「Airbnbのようなサービスは、将来的に合法化されることも期待されます。というのも、安倍政権は、国家戦略特区の構想で、旅館業法を適用除外にする方針を発表しているからです。

不動産会社の中には、特区において、空室を旅行者に提供する事業を検討している企業もあるようです」

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

金子 博人
金子 博人(かねこ ひろひと)弁護士 金子博人法律事務所
「金子博人法律事務所」代表弁護士。国際旅行法学会の会員として、国内、国外の旅行法、ホテル法、航空法、クルージング法関係の法律実務を広く手がけている。国際旅行法学会IFTTA理事。日本空法学会会員。

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