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「ズワイガニのピザ」に「ベニズワイガニ」を使用 「食材」違いは返金してもらえる?
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「ズワイガニのピザ」に「ベニズワイガニ」を使用 「食材」違いは返金してもらえる?

東京ディズニーランド(TDL)のレストランで、「ズワイガニとブロッコリーのピザ」(500円)の材料として、ズワイガニではなく、安価な「ベニズワイガニ」が使われていたことがわかった。運営元のオリエンタルランドは5月17日、食材表示に誤りがあったことを発表。領収書などで確認ができれば返金に応じるという。

表示されている食材名と実際に提供されるものが異なっていたケースとしては、ほかにも高級魚の「クエ」のケースがある。大阪府岸和田市の水産物販売業者が2008年、クエに外見がよく似た「アブラボウズ」という魚を「クエ」だと偽って販売していたとして、大阪府から改善指示を受けている。

料理によっては食材が重要なことがあるが、食材の名前はどこまで正確に表示する必要があるのだろうか。また、もし表示されていた材料とちがっていた場合、客は「だまされた」と言って、返金を請求できるのだろうか。食材の豊富な北海道で、消費者事件や農作物関連事件をはじめ、さまざまな事件をてがける足立敬太弁護士に聞いた。

●実際のものよりも「著しく優良」と表示したら「不当表示」

「食品をめぐる表示のあり方については、農林物質の規格制定のための『JAS法』、公衆衛生のための『食品衛生法』など、さまざまな法律によって厳しい管理がなされています。そして、本件のような原材料の誤った表示については主に『不当景品類及び不当表示防止法(景表法)』の『不当表示』が問題となります」

では、「不当表示」とは、どんな表示のことをさすのだろうか。足立弁護士は、次のように説明する。

「景表法における『不当表示』とは、商品の品質その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも『著しく優良であると示す』表示であって、『不当に顧客を誘引』し、自主的で合理的な選択を阻害するおそれがあるもの、とされています。たとえば、『カシミヤ使用のカーディガン』と表記しながら、実際にはカシミヤを使っていない場合は、不当表示にあたります」

食材の場合はどうだろうか。

「食品の原材料表示についても、『実際のものより著しく優良であると示す』表示か、『不当に顧客を誘引』する表示かを基準に判断されます。ただ、魚介類は、成長段階や採れる地方によって呼び方が異なるなど判断が微妙なケースもあり、どこまで厳密な表記が必要かは、ケースバイケースで判断せざるをえません」

もしレストランのメニューが「不当表示」といえる場合、客は返金を求めることができるのか。

「不当表示に該当したとしても、ただちに契約が無効になるわけではありません。しかし裁判で争えば、いくらかの返金が受けられる可能性は高いですし、実際にはそこにいたる前に、売主が任意の返金に応じるケースが多いでしょう」

料理にとって、食材がなにかは重要な要素だ。「ズワイガニとブロッコリーのピザ」というようにメニューに食材が表記されることも多い。それだけに店にはウソをつかないで、誠実な表示をこころがけてほしいものだ。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

足立 敬太
足立 敬太(あだち けいた)弁護士 あい弁護士法人富良野・凛と法律事務所 旭川OFFICE
北海道・富良野在住。投資被害・消費者事件や農家・農作物関係の事件を中心に複数の分野を取り扱う。「常に相談者・依頼者様の視点に立ち、分かりやすい説明を心がけています」

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