「彼女とトイレでしてみたい」。あるQ&Aサイトで、トイレでの性行為という「アブノーマル」な願望を抱いた男性が、実行前に「公衆トイレで性行為したら犯罪にあたるのか」と法的リスクを確認する書き込みをしていた。
この男性は、公然わいせつ罪にあたることを恐れながらも、「障害者用のトイレでやったとか聞くと、ドアも閉めてるし、合法なのかな」「ほとんど見つからないと思います」と書き込んでおり、「セーフ」であるかどうかを見極めたいようだ。
たしかに多目的トイレなどでロックをかけていれば、ほかの誰かに見られずに、性行為に及ぶことができるだろう。このような状況であれば「公然わいせつ」には当たらないのだろうか。刑事事件にくわしい中島宏樹弁護士に聞いた。
●「公然わいせつ」ではなく「建造物侵入」に問われる可能性
「『公然』と『わいせつ』な行為をおこなった場合、公然わいせつ罪(刑法174条)に問われます。公然わいせつ罪に該当する場合は、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または、拘留もしくは科料が課せられます」
中島弁護士はこう切り出した。それでは、多目的トイレで性行為をおこなった場合、公然わいせつ罪にあたるのだろうか。
「ここでいう『公然』とは、『不特定または多数人が認識しうる状態』を指します。
たとえば、多目的トイレのドアを閉めて、中からロックをかけている場合には、第三者が立ち入ることはできず、ほかの誰かに見られたりするおそれはありません。『不特定または多数人が認識しうる状態』とまではいえないので、『公然』にはあたりません。
したがって、このような場合には、公然わいせつ罪にあたらないでしょう」
公然わいせつ以外の罪には、問われないのだろうか。
「多目的トイレで性行為をおこなうことは、管理者の意思に反して多目的トイレを使用したとして、建造物侵入罪(刑法130条前段)に問われる可能性があります。建造物侵入罪に該当する場合、3年以下の懲役もしくは10万円以下の罰金に課せられます」
中島弁護士はこのように説明したうえで、次のように注意を呼びかけていた。
「多目的トイレは、あくまでも子ども連れや、障害者が利用するために設置されているものです。目的外使用は控えるべきでしょう」
アブノーマルな願望を抱くのは勝手だが、迷惑はかけないようにしてほしい。