「既婚者がキスフレを作っても、不倫にならないと私は思います」。男女の法律問題にくわしい堀井亜生弁護士は10月2日、オンライン授業サイト「schoo(スクー)」の生放送番組で、こんなキワドイ?発言をした。
キスフレとは、「キスはするけど、それ以上の行為はしない友達」のこと。既婚者なのに、友達とキスをしていたら、「それは不倫だ」という意見もありそうだが、なぜそうならないのだろうか?
堀井弁護士は「法的にいうと、不倫は『性交渉』と『性的類似行為』のことです。専門家の間でも見解は分かれると思いますが、私はキスをするだけなら、性交渉や性的類似行為にはあたらないと思います」と持論を述べた。
●「キスフレを持った相手と離婚することはできる」
結婚しているパートナーに「キスフレ」がいると発覚した場合、「そんな人とは離婚したい」と裁判所に訴えたら、どうなるのだろう。キスフレは「不倫」でないとしたら、それを理由に離婚することはできないのだろうか。堀井弁護士は「状況によりますが、相手にキスフレがいる場合、裁判をすれば、離婚できる可能性はあるでしょう」という。
なぜ、そのように言えるのか。実は、裁判で離婚が認められる理由は、民法(770条)で決まっている。
(1)不貞行為(いわゆる不倫)
(2)悪意で遺棄されたとき
(3)生死が3年以上不明
(4)強度の精神病にかかった場合
(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
キスフレをつくることは、このうちのどれにあてはまるのだろうか。
堀井弁護士は、あてはまるとすれば、5番目の「婚姻を継続し難い重大な事由」だと指摘する。裁判官は、別居期間や子どもの年齢など、さまざまな事情を考慮したうえで、夫婦生活が破たんしているかどうかを判断するのだという。
つまり、キスフレを発覚したら、即座に「離婚が認められる」というわけではないようだ。
堀井弁護士は「判断は、裁判官の裁量が大きい部分」としながらも、「キスフレというくらいですから、お酒を飲んだときに『チュッ』とするだけじゃなくて、ある程度継続的なものでしょう。そうした場合、ふつう、夫婦生活はうまくいっていないと考えられますので、『婚姻を継続し難い重大な事由』にあたると判断される場合があると思います」と説明していた。
なお、堀井弁護士が出演したschooのネット生放送番組は、弁護士ドットコムが企画・制作した。今後も月1回のペースで、弁護士をゲストに招き、わかりやすい法律解説の番組を実施していく予定だ。