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山谷えり子大臣に「在特会」の質問集中――外国特派員協会の会見でどう答えたか?
記者たちの質問に答える山谷えり子国家公安委員長・拉致問題担当大臣

山谷えり子大臣に「在特会」の質問集中――外国特派員協会の会見でどう答えたか?

在日韓国・朝鮮人の排斥を主張する「在特会」の幹部だった男性と記念撮影をしていたとして、議論を呼んでいる山谷えり子国家公安委員長・拉致問題担当大臣が9月25日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開いた。

山谷大臣は会見冒頭のスピーチで、北朝鮮による拉致問題の解決に向けた熱意を強調した。しかし、会見に集まった記者たちからは、在特会(在日特権を許さない市民の会)との関わりや、特定の民族や人種などに対する「ヘイトスピーチ」をどう考えるかといった質問が、相次いで投げかけられた。

●「存じ上げない」「記憶にない」

「(在特会の)関係者とは存じ上げていません」「何回会ったのか、記憶にありません」。山谷大臣は在特会の幹部だった男性との関係を繰り返し問われ、ときおり声の調子を変えながら、こう繰り返した。

また、在特会の主張についての考えを問われると、「一般論として、いろいろな組織について、コメントをするというのは適切ではない」と、言葉を濁した。

ヘイトスピーチについては、「平和で愛し合う世の中を作りたい人々に対するチャレンジ」「差別的な決め付けをしたり、また名誉毀損をしたり、あるいは侮蔑的な感情を煽ったり、憎悪の感情を煽るということで、憂慮にたえない」と言葉を選びながら述べた。

さらに、国家公安委員会のトップとして、ヘイトスピーチにどう取り組むか問われると、「警察としては必要な警備をおこない、そして違法行為があれば、法と証拠にもとづいて厳正に対処していかなければならない」と述べていた。

【動画】山谷えり子大臣に「在特会」の質問集中――外国特派員協会の記者会見

https://www.youtube.com/watch?v=Hug43bzWUGQ

●「ヘイトスピーチは憂慮にたえない」

「在特会」やヘイトスピーチをめぐる記者とのやり取りは、以下のとおり。

――記念撮影した男性は在特会と深い関連を持っているということですが、大臣は、彼が在特会と関係していることを知らなかったとおっしゃったと思います。しかし、彼は15年前から大臣を存じ上げているというふうに言っているそうです。いろんな疑問があります。その疑問を晴らすという意味でうかがいます。何年前から彼をご存じなのか。何回くらいお会いしているのか。そして、在特会についての気持ちをはっきりとお話いただけますか。

山谷:私は選挙区が全国でありまして、たくさんの人々とお会いをします。その方が、在特会の関係者ということは存じ上げておりません。

――何回会ったか。最初に会ったのはいつか?

山谷:それはですね、記憶にありませんね。何回かというのは。たくさんの人といろんな機会にお会いしながら、いろいろな意見を聞いているところであります。

――在特会が訴えるような政策に反対したか?

山谷:一般論として、いろいろな組織について、コメントをするというのは適切ではないというふうに考えております。

――国連も、米国の国務省も、また大臣がご担当されている警察庁もそうですが、この3つの組織はすべて、在特会は「憎悪」、ヘイトクライムのグループであると指摘しています。つまり、彼らは差別的な気持ちを扇動して、在日韓国人、朝鮮人に対する差別を促すような組織であると言っているわけです。警察のトップとしてやはり、はっきりとこの場でヘイトクライム、ヘイトスピーチなど差別的な行為は、絶対に許すべきではない、人種差別はよくないということをおっしゃっていただきたいと思います。

山谷:さきほど「サインを」とお願いされまして、私は「和をもって尊しとす」と揮毫(きごう)させていただきました。日本というのは、「和をもって尊しとす」、一人ひとりの人権を大切にしてきた国柄でございます。ヘイトスピーチに関しましては、特定の集団や人々に対して、非常に差別的な決め付けをしたり、また名誉毀損をしたり、あるいは侮蔑的な感情を煽ったり、憎悪の感情をあおるということで、それは誠によくない。憂慮にたえないことであります。

また、昨今の日本で、ヘイトスピーチをする人、そしてそれに反対する人々との間で暴力行為すら起きているということで、遺憾に思っております。

警察としては、必要な警備をおこない、そしてまた、違法行為があれば、法と証拠にもとづいて厳正に対処していかなければならないと思っております。

●「違法行為・暴力行為には厳正に対処する」

――大臣は、「週刊文春」記者のインタビューで、「在特会は知らない」と答えられています。そして今、イギリスの記者の質問に対しても、「いつごろ付き合いがあったとか、名前もしらない」とおっしゃいました。それで、警察行政のトップは務まるのでしょうか。今これだけ、国連から問題にされている団体のことを知らなくて、警察行政のトップが務まるのでしょうか。それこそ辞任に値しないでしょうか?

山谷:ヘイトスピーチ、ヘイトクライムに関しましては、さきほども申しましたが、憂慮にたえない、遺憾に思います。平和で愛し合う世の中を作りたい、そんな21世紀を作りたいと思う人々、私も当然でございますが、それに対するチャレンジだと思っています。

週刊誌のやりとりに関しましては、事実ではございません。

――現状では、警察がヘイトスピーチをしている人たちを守っているかのように見える映像や、まったく無抵抗の老人をヘイトスピーチをしている人たちが殴る蹴るの暴行をしているのに、警察官がとくに取り締まる様子もない映像がインターネットで流れて、日本のイメージを著しくそこなっていると思います。そういう現状を踏まえて、警察を管轄する大臣として、ヘイトスピーチの問題に対して、警察がきちっと対応していくと、現行法でできる限りのことをやっていくという考えは、ここで提示していただけるでしょうか。

山谷:私もですね、その、いろいろなグループがぶつかっているという映像をですね、いくつか見ております。で、違法行為があれば、暴力行為、違法行為があれば、当然、法と証拠にもとづいて、厳正に対処しなければならないというふうに思っております。警察を督励していきたいと思っています。

●「週刊誌の書きぶりは正しくなかった」

――さきほどの問題人物について、お会いにはなったけれど、団体についてはよくわからない、あるいは組織についてはよくわからないという話があったと思うが、大臣は警察組織のトップなので、やはり、あらゆることについて知っておくべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。つまり、それを知らなかったというのは、問題ではないでしょうか。

山谷:知らなかったとは言っておりません。ですから、週刊誌の書きぶりは正しくなかったと、さきほどお答えいたしました。ヘイトスピーチ、ヘイトクライムというのは良くないことだ、ということも申しました。そして、違法行為があるならば、法と証拠にもとづいて、警察としては厳正に対処していきたいと思っています。

――先日(TBSラジオの)番組のほうから、いくつか質問をして、コメントをいただいたものがあるんですけど。このなかで、「在特会につきまして、どのような団体という認識をお持ちですか?」という質問をさせていただいたのですが、それに対するお答えが、「同団体については、在日韓国人・朝鮮人問題を広く一般に提起し、彼等に付与されている『特別永住資格』の廃止を主張するなど、『在日特権』をなくすことを目的として活動している組織と承知しています」とお答えいただきました。この場合の在日韓国人、朝鮮人問題、ならびに在日特権とは何を指しているのか?

山谷:たくさんの取材をうけて、たくさん回答をしております。今お読みになられた部分は、おそらく全体をお示しくださっていないので、ちょっと、たしかではありませんけども、今お読みになられた部分は、おそらく在特会のホームページから引用したものをそのまま記しているのだろうというふうに思います。ということであります。

――在日特権とはなにか?

山谷:在特会が言っている在日特権というのは、詳しくは何を示すのか・・・。在日特権の定義というのは、いろいろなグループがいろいろなことをカギカッコで言っているんだと思いますが、法律やいろいろなルールにもとづいて特別な権利があるというのは、それはそれで、私が答えるべきことではないと思っています。

(弁護士ドットコムニュース)

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