ミュージシャンで作家の辻仁成さん(54)と女優の中山美穂さん(44)が7月8日、離婚した。辻さんはブログで「本日、離婚届けにサインをし、提出いたしました」と報告している。
2人の間には10歳の長男がいるが、「親権」は辻さんが持つことになったと報じられている。辻さんはブログで「今後は息子とふたりで生きていくことになります」と報告。「ぼくと生きたいと望んでくれた息子の気持ちにこたえられるよう、父親としても頑張りたいと思います」と綴っている。
未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合、どちらが親権をもつのか、争いになるケースも少なくない。今回、辻さんは、子どもが父親を選んだことを示唆しているが、親権は「子どもの希望」によって決まるのだろうか。離婚問題にくわしい佐々木未緒弁護士に聞いた。
●裁判所は「10歳くらい」から子どもの意思を尊重する
――子どもが「お父さんと一緒に暮らしたい」といえば、親権は父親になるのか?
「中山さんと辻さんのお子さんは10歳です。裁判所は親権を決める際、10歳くらいをめどに、子どもの意思を尊重するようになります。
10歳だと、意思が100パーセント尊重されるわけではありませんが、子どもの意見や養育環境などを総合的に考慮して、親権を決めることになるでしょう」
――10歳未満の子どもの意思は尊重されない?
「10歳未満の場合、子どもが『お母さんがいい』とか『お父さんと生きたい』と言ったとしても、必ずしも実現するとは限りません。
裁判所が重視するのは、夫婦と子どもの関わり方です。つまり、より長い時間を一緒に過ごしたほうに親権を与えるのが、子どもにとって、負担が少ないと考えるでしょう」
――10歳以上の場合はどうなるのか?
「高校生くらいになると、子どもの意思がかなり重視されるようになります。子どもに、どちらを望むのかを書面に記載してもらって、親権を決めることもあります。
小さな子どもの場合は、裁判所の調査官が家庭訪問したり、保育園などに聞き取りに行ったりしますが、高校生にもなると、調査官が直接会うことはほとんどないでしょう」
●経済状況の良し悪しは、ほとんど影響を与えない
――経済状況は、親権に影響を与えるか?
「裁判所は、ほとんどと言っていいほど、経済状況と関係なく、親権を決めます。たとえば、母親が専業主婦で、父親が経済的に余裕があるというケースがあったとしても、そのことが判断材料になることはありません」
――たとえば、母親が働いていて、父親が「主夫」をしているようなケースでは?
「子どもと多くの時間を過ごした父親が有利になると思います。基本的に、裁判所は子どもの目線で決めます。子どもの生活環境に悪影響を及ぼさないようにするでしょう」
――子どものためを思えば、離婚を思いとどまったほうがいいのか?
「子どものために自分の人生の犠牲するというのは、良くありません。お子さんのためにも、2人のためにも、悪化した夫婦関係をむりやり続けるよりも、いい意味で割り切って別れることが大事ではないかと思います」