ゴールデンウイークには、旅行する計画を立て、国内や国外の宿を予約している人も多いだろう。しかし、予約後に外せない用事が入ったり、旅行先の土地の状況が変わったりした影響で、いったん取った予約をキャンセルする人もいるはずだ。
たとえば、4月13日に震度6弱の地震が起きた兵庫県・淡路島では、ホテルや旅館に対して宿泊キャンセルの連絡が相次いでいるという。自然災害がからんでいるとはいえ、連休中の宿泊客をあてにしていた宿にとって、直前のキャンセルは大きな打撃となる。
このように宿泊客が予約をキャンセルする場合、違約金を取られるのだろうか。インターネットで予約する場合はキャンセル料が明記されていることもあるが、電話一本で予約した場合はどうなのだろうか。
●「夕食つき」の旅館は、キャンセル料が発生する場合が多い
「ホテルの予約については、国内ではパック旅行の標準約款のようなものは無く、特別の法令の定めもありません。したがって、キャンセル料の設定は各ホテルや旅館に任されています」
このように語るのは、国際旅行法学会の会員で、国内・国外の旅行やホテルに関する法律実務を広く手がけている金子博人弁護士だ。キャンセル料が発生するかどうかについて、金子弁護士は次のように説明する。
「設定されたキャンセル料は、明示されてはじめて契約の内容となるのが原則ですが、あって当然といえる状況であれば、それが明示されていなくても、内容が不合理でない限り、ホテルや旅館が決めたキャンセル料が発生するというべきでしょう。
インターネットで予約する場合は、画面にキャンセルの規約が表示されている場合が多いので、そのときはそれに従うのが原則です」
では、電話で予約した場合はどうか。ビジネスホテルと旅館で違ってくるという。また、個人か団体かでも異なるようだ。
「シティーホテルやビジネスホテルを予約した場合、電話だとキャンセルについて説明がないのが普通ですので、この場合は、当日キャンセルでもキャンセル料は発生しないのが原則です。
一方、旅館の場合は夕食がつくので、キャンセル料の発生が当然とみるべきで、事前の確認が必要です。団体の場合も、ホテル等は部屋を確保しなければならいため、キャンセル料があると見るべきで、事前に確認しておく必要があります」
●実際にキャンセル料を請求されるかどうかは、日本と海外で事情が異なる
このようにキャンセル料が発生するかどうかはケースバイケースということだが、実際に請求されるかどうは、日本と海外で違うのだという。
「日本では、法的にはキャンセル料が発生しても、ビジネスの観点から請求を控えることが多いのですが、外国の場合、キャンセル料を請求してくるのが普通です。したがって、ネットで申し込むときなど、規約の表示を確認しておく必要があります」
ただし、事故や災害、テロなどで旅行が不可能か困難になったときは、「キャンセルは違法性のある不履行でないので、キャンセル料は発生しません」ということだ。
最近では、宿泊の予約はインターネットを使うことが多くなった。国内・国外を問わず、予約画面にはキャンセル料についての表示があることが大半なので、きちんと確認するようにしたいものだ。