マンガや書籍を通じて法律をわかりやすく解説〜離婚問題、交通事故、企業法務に注力
海外で痛感した交渉力の重要性
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
いくつか理由はあるのですが、父親が弁護士をしていたので、身近な職業だったというのが一つです。子どもの頃は父がどのような仕事をしていたのか具体的に知りませんでしたが、弁護士という存在を初めて意識したのは、父親だと思います。
弁護士の仕事に対する魅力と、難しい資格の方が挑戦のしがいもあり、自分の限界を試せると思い、司法試験を受けることにしました。
司法試験を目指すことを父に相談したら「途中で投げ出すなよ」と言われました。当時はロースクールができる前で、浪人覚悟で試験にのぞまなければいけなかったため、覚悟が必要だったんですね。父からの言葉を受け、司法試験を受けると決めてからは勉強に打ち込みました。
――どんな学生生活でしたか?
語学研修で海外へ行ったことが思い出です。アメリカやフランスなど、5カ国ほど行きました。中でもメキシコが印象に残っています。観光地だと、買い物をするときに値段交渉をするじゃないですか。その駆け引きがメキシコはすごくて、コテンパンにやられて高値で買わされた苦い記憶があります。社会に出るには交渉力が必要だと痛感しました。今なら負けない自信があります(笑)。
――注力している分野と、注力している理由についてお聞かせください。
離婚問題や交通事故、企業の法務や顧問などに注力しています。
中でも離婚問題はこれまで多くの案件を扱い、昨年は『離婚後のトリセツ』という書籍を出版しました。これまでの経験を書籍にすることで、離婚問題で悩んでいる方の役に立つことができればと思い、本を出すことにしました。
家庭にはいろいろな形があると思いますが、夫婦の不仲や問題は、子どもにとってもよくありません。その家庭にとって本当の幸せが何かを考え、それが離婚なのであれば、弱い立場である女性や子どもを守り、きちんとした形で離婚をさせてあげたいという思いがあり、離婚問題に注力しています。
マンガは法律をわかりやすく伝えてくれるツール
――事務所のホームページにはマンガを使った問題解決コーナーがありますね。
私が大のマンガ好きということもあるのですが、マンガというのは印象に残りやすく、法律をわかりやすく伝えるツールとして非常にすぐれていると思ったんです。絵やコマ割りはプロのマンガ家にお任せしていますが、ストーリーやセリフはすべて私が考えています。
労働問題や借金問題など身近な問題から刑事事件まで、できるだけわかりやすく伝わるように心がけ、絵のクオリティやストーリーの面白さにもこだわって作っています。
ストーリーを考える際は、配慮に欠けた内容にならないように気をつけています。例えば、刑事弁護のマンガは、強盗致傷の被疑者を弁護する話なのですが、この時、被害者の気持ちを無視した内容にならないように気をつけました。被疑者がきちんと罪を認め、更生する過程を描くことが大事だと思っています。
夢は六法すべてをマンガにして出版することです(笑)。
――仕事をする上で心がけていることを教えてください。
偉そうにするのは絶対にやめようと思っています。依頼者に上から目線で一方的に話すのではなく、しっかり傾聴した上で、その人に合ったアドバイスをするように心がけています。依頼者をないがしろにして自分のペースで物事を進めていく弁護士をときどき見かけますが、私はそうならないように、依頼者目線で考えるようにしています。
自信へと繋がった新人時代の示談交渉
――弁護士として活動してきた中で印象的だったエピソードを教えてください。
弁護士なりたての頃に担当した示談交渉がとても記憶に残っています。
レンタルガレージで遊んでいた子どもたちが、石油ストーブにガソリンをこぼしてしまい、火事を起こしてしまったんです。連なっていた他のガレージ十数棟が燃えてしまうほどの大惨事でした。
依頼者はガソリンをこぼしてしまった子どもの親なのですが、ガレージの契約者は別の子どもの親でした。悪いことに、遊んでいた子どもたちの親が誰も保険に入っていませんでした。そのため、賠償金も膨大になることが予想され、誰が責任を取るのかということで一悶着ありました。
内部分裂していては解決が遠くなるため、それぞれの家族と話し合って、なんとか、火事の現場にいた子どもたちの親全員で分担して賠償金を払うことに納得してもらいました。納得してもらうまでにかなりの時間がかかりましたが、そこからさらにオーナーと他のガレージ契約者との交渉が残ってます。
レンタルガレージは、自動車だけではなく思い出の品や趣味のコレクションの保管場所として使用している利用者も多く、一般的な資産価値を提示しても納得してもらえないんですよね。それでも、根気強く一人一人と交渉して、最終的にはある程度の金額で示談を成立させることができました。
弁護士になりたてでしたし、ストレスで電話に出るのも嫌になるくらい辛い事件でしたけど、最終的には達成感がありました。「やればできる」という自信にもなりましたし、何よりも、弁護士を続ける覚悟ができましたね。後日談ですが、交渉の仕方が気に入ったと言われ、交渉の相手方から別件の依頼を受けてくださいと言われたこともあります(笑)。
――弁護士会の委員会以外にも様々な団体で役員を経験されていますね。
青年会議所ではいろいろな体験をさせていただきました。中でも日本とロシアの学生を交流させる企画では対ロシアの交渉責任者を務めました。日本の学生を20名ほどロシアに連れて行き、ロシアの大学で授業を受けてもらったり、逆にロシアの学生を日本に呼んで、日本文化を体験してもらったり。弁護士の活動とは直接は関係ありませんが、人生って一度きりですからね。文化交流やボランティア活動など、弁護士以外の事業もいろいろとやりたいと思っています。
出版やセミナーで法律を身近に感じてもらいたい
――休日はどのように過ごされていますか?
最近、ゴルフが楽しくなってきました。以前は付き合いで仕方なしにやっていたんですが、だんだん面白くなってきて、よく行くようになりましたね。あとは家族サービスですね。平日は仕事や付き合いで家にいることが少ないので、休みの日はできるだけ家族と過ごすようにしています。
マンガもよく読んでいます。法廷ものも好きですが、最近は『チ。―地球の運動について― 』というマンガにハマってます。
――今後の展望についてお聞かせください。
本の出版は積極的に取り組みたいと思っています。それと、セミナーやラジオに出演させてもらう機会もあるので、そうした活動は継続していきたいですね。情報の発信をするには、正しい知識を持っていなければならないので、自分の学びにもなりますし、そうした活動を通じて、一般の方に法律を身近に感じてもらえたらと思っています。
事務所としては、 「常に最先端を追求し、時代や社会の変化に対応できる持続可能な事務所であること」 「依頼者のために、最高のリーガルサービスの提供を心掛ける事務所であること」 「社会正義の実現に寄与できる事務所であること」 という3つの理念を軸に、アップデートしながら業務に取り組みたいと思っています。
――法律トラブルを抱えていて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
弁護士を探すのもインターネットで簡単に検索できる時代になりましたから、以前よりはだいぶ敷居が低くなったのではないかと思います。弁護士に相談した経験がない人でも、躊躇せずに、気軽に相談していただければと思います。