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外国で「テロ遭遇」 死亡やケガの補償は受けられるか?

外国で「テロ遭遇」 死亡やケガの補償は受けられるか?

アルジェリアで起きたイスラム武装勢力による人質事件。プラント大手「日揮」の駐在員が拘束され、10人が死亡するという痛ましい結果となった。

もし、外国での駐在や旅行中にテロに遭遇し、死亡や怪我、拘束されるなどした場合、賠償は受けられるのか。保険はおりるのだろうか。佐藤篤志弁護士に聞いた。

●海外での事件・事故は「加害者」に請求するのは難しい

「アルジェリアの事件被害者の皆様には、ご冥福をお祈りします。あまりにも痛ましい結果で安易に取り上げるべきかとも思いますが、確かに他人事ではない問題でもあるので、コメントさせていただきます。

海外での事件・事故は、海外であるがゆえに、加害者に請求するのは現実的に難しいといえます。テロの場合であれば尚更なので、損害が生じた場合は、旅行保険等でカバーすることになると思われます。

その点、各損保会社から、旅行者向けの海外旅行保険が出ていますので、渡航前に旅行保険を契約するケースが多いでしょう。

海外旅行保険では、テロ行為による被害は、約款で『免責事項』とされ、その保険では補償されないことも多いのですが、なかには、『戦争等は除くものの、テロは補償する』という商品もあります。したがって、契約する際には約款をよく確認しておきたいところです。

また、海外赴任者向けには旅行保険をアレンジした商品があるので、基本的には同様に考えて良いと思われます。特に危険な地域に行く場合などは、会社でも社員の安全に備えて保険をかけていると思いますので、会社の担当者によく確認しておくべきでしょう。

なお、渡航前に外務省のサイトなどで安全情報をよく確認することと、渡航先でも危険なエリアには近づかないなど、安全な日本とは違う自己防衛の意識を持つこと、が被害を防ぐためには重要かと思います」

これからの季節、2月から3月にかけては、「卒業旅行」と称して海外に長期間の旅行に出かける大学生も多いだろう。テロにあわないように注意すると同時に、万が一のときに備えて、旅行保険の中身を確認して適切な保険をかけておくのが大切だといえそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

佐藤 篤志
佐藤 篤志(さとう あつし)弁護士 東京佐藤法律事務所
会社法務、金融法務を中心とした企業法務、また、交通事故などの損害賠償を得意としています。依頼者の方には、質の高い丁寧な法的支援をリーズナブルに提供することを心掛けております。

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