ミニスカートを履き、「撮影してくれ」と言わんばかりに前かがみになる女性を見かけたら、あなたはどうするだろうか――。他人に「盗撮」するよう仕向けて、金を脅し取ったとして、20代の女性とその夫らが、恐喝などの疑いで大阪府警に逮捕された。
報道によると、事件が起きたのは大阪・梅田の家電量販店。女性はミニスカートにハイヒールという格好で、わざわざ前かがみになって、商品を選ぶそぶりを繰り返していたという。20代の会社員男性がスカート内をカメラで撮ると、女性の夫が出てきて「警察か示談か」と迫って現金を要求。暴行の末、1万円を脅し取った疑いがもたれている。
一方で、大阪府警は「盗撮行為は、相手から仕向けられたものだから」という理由で、男性会社員の行為を罪にあたらないと判断したという。男性は盗撮行為をしているようにも思えるが、なぜ今回は不問となったのだろうか。刑事事件にくわしい中島宏樹弁護士に聞いた。
●そもそも「盗撮」ってどんな行為?
「盗撮行為は、都道府県単位で制定されている迷惑防止条例により規制されています。大阪府の迷惑防止条例では、盗撮行為は、『人を著しくしゅう恥させ、または人に不安を覚えさせるような方法で、相手の了解を得ずに撮影を行うこと』と定義されています」
中島弁護士はこのように切り出した。今回のケースは、この「盗撮」の定義に当てはまるのだろうか?
「今回逮捕された女性は、ミニスカートにハイヒールという格好で、わざわざ前かがみになって、商品を選ぶそぶりを繰り返していました。このような女性の態度から考えるに、女性が著しいしゅう恥心を感じることも、不安を覚えることもないと言えるでしょう。
むしろ女性の側から撮影されるよう仕向け、男性が盗撮行為を行うことを誘因していたとさえいえます。
したがって今回のケースは、そもそも『人を著しくしゅう恥させ、または人に不安を覚えさせるような方法』により撮影したものとはいえません。したがって『盗撮』の定義には当てはまらないとして、男性は罪に問われなかったのでしょう」
●「盗撮」したら、どんな処罰が待っている?
では、もし男性が「盗撮」をしたと判断された場合、どのような処罰を受けることになるのだろうか?
「大阪府の迷惑防止条例では、公共の場や電車の中などで人の身体や下着を盗撮した場合には、『6か月以下の懲役または50万円以下の罰金』が課されます」
いくらミニスカの女性が目の前で扇情的なポーズをとっていたとしても、それを撮影しようなんて、ゆめゆめ思わないほうがよさそうだ。