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恫喝や待ち伏せで「立ち退き」を迫る「ブラック地主・家主」ーー対策弁護団が結成
弁護団が会見を開いた

恫喝や待ち伏せで「立ち退き」を迫る「ブラック地主・家主」ーー対策弁護団が結成

不当な立ち退き強制や、土地・家の買い取りのトラブルに対応するため、借家・借地問題に取り組んできた弁護士7人が「ブラック地主・家主対策弁護団」を設立した。6月12日、東京・霞ヶ関の司法記者クラブで弁護団が開いた記者会見には、立ち退き要求の被害を受けた男性(60代)も出席した。

家や土地を借りている賃借人から、弁護団に所属する弁護士のもとに寄せられた「ブラック地主・家主」に関する相談件数は、これまで50件を超えるという。弁護団長の田見高秀弁護士は「この数字は氷山の一角だと考えている」として、弁護団結成の目的を次のように語った。

「被害にあいながら、誰にも相談できず、今まで住んでいた場所を泣く泣く追い出されたり、土地を買い取ったりしている人は少なくない。見えない被害を掘り起こすとともに、被害が起こらないような行政的、法律的な手だてを考えていきたい」

●「もう貸すつもりはないから出て行け」

弁護団によれば、「ブラック地主・家主」の嫌がらせ行為には、典型的な手口がある。

「地主から土地を借りて平穏に住んでいた人が、ある日突然『地主が変わった。もう貸すつもりはないから出て行け』と、地主だと名乗る不動産業者から連日のように訪問を受ける。これがよくあるケースです。

業者は、玄関先で、近所の人にも聞こえるような大声で恫喝したり、家の前で車を止めて待ち伏せをするなど、借りている人の精神を圧迫する嫌がらせをします。家の前に『売地』という看板を立てられた事例もあります」(種田和敏弁護士)

実際に、「金返せ」と大声で叫ばれたり、駐車場に4〜5時間居座られるなど執拗な嫌がらせを受けた埼玉県在住の60歳の男性は、この日の会見で、そのときの思いを語った。

「私の母が近所の酒屋に行ったら、『何があったんだろうと、みな話してるよ』と言われた。『何かあったら相談して』とも言われたが、これが非常に辛かった」

●「借りたものは返せ」という文化が背景に

トラブル解決の手段としては、弁護士から裁判所に「面会禁止・訪問禁止」の仮処分を申し立てることで、訪問が止む場合がほとんどだ。ただし、業者はその家に訪問しなくなるだけで、他の家をターゲットにするため、新たな被害者が生まれていく懸念がある。

弁護団の西田穣弁護士は「日本には『借りたものは返せ』という文化があり、貸している人に対して借りている人が弱い立場にあることが、こうしたトラブルが起こる要因です」とも指摘した。

「住む権利、つまり居住権は、憲法上の権利です。借地借家法という法律で、『期間満了は契約の終了ではなく、原則として契約を更新すること』と具体的に定められています。つまり、そこに賃借人が住み続けている限り、家主は明け渡しを当然に請求できるわけではないのです」

弁護団では6月14日(日)10時〜16時、被害者からの相談を受け付ける「ブラック地主・家主110番」(電話番号03-5956-2510)を実施する。

(弁護士ドットコムニュース)

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