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個人情報を執拗に求める「モンスターペアレント」もし遭遇したらどうすればいい?
公園で遊ぶ子供たち

個人情報を執拗に求める「モンスターペアレント」もし遭遇したらどうすればいい?

自分のテリトリーで「モンスターぺアレント」に出会ってしまったらどうしよう? 親なら誰しもが抱える不安だが、30代の女性であるSさんは、意外な場所で目撃してしまった。

東京都心部の住宅街にある中規模の公園。400坪ほどの敷地には連日、乳幼児から小学生までの子どもとその親、界隈のサラリーマンらが集まる。日頃は和やかなその公園の常連であるSさんはある日、異様な光景を目にした。3歳くらいの子どもを連れた母親が、小学生2人を相手にかなり大きな声で怒鳴りつけていたのだ。

●「小学校の担任や父親の職業も教えなさい」

聞き耳を立てると、小学生たちが、女性の子どもにぶつかったというのが、理由のようだ。ただ、その子どもを見ると、転倒するなどして泣いた様子もない。

騒ぎを聞きつけて、慌てて小学生2人の父親が駆けつけたが、女性の怒りは冷めやらない。「家族全員の名前を漢字で書きなさいよ。携帯番号を教えなさい。小学校はどこ? クラスは? 担任の名前は? 父親の職業は? 住所はどこか?」と畳み掛けていたのだ。

そんな現場を目撃したSさんは困惑した。もし怪我をさせたのなら、連絡先を教えるのは当然だと思う。しかし、このケースでは、頭を打つなどの様子もなく、怪我もないようだ。そもそも、見知らぬ小学生を相手に怒鳴り続けるような人に、連絡先を教えてしまったら、悪用されかねない。

こんな公園での喧嘩で、親は、相手の言うがままに個人情報を明かす必要があるのだろうか。もしこうしたケースに巻き込まれた場合、どのように対応するのが良いのか。今田健太郎弁護士に対応策を聞いた。

●けがをした場合、連絡先は相互に交換するべき

「都心の公園は、親にとっても子どもたちにとっても、心が和む数少ない公共の場ですから、こうしたモンスターペアレントの出現をきっかけに、立ち寄りにくい場所になってしまうのは、とても残念ですよね」

今田弁護士はこう話す。

「今回のようなケースでは、転倒の有無や、外傷・顔色などを確認し、頭を強打していたり、怪我を負っている様子があれば、病院へ同行して医師の診察を受けましょう。

後日、治療費などの負担に関して協議するため、親子の氏名と電話番号は相互に交換しておくべきですが、自宅の住所については、文書でやりとりする必要が出てくるまでは、積極的に開示しなくてもよいでしょう。

学校名やクラス、担任、親の職業などを教える必要は、原則としてありません」

●丁寧かつ毅然とした対応を

とはいえ、相手が強者のモンスターペアレントだったら、どうするべきか。

「怪我の状態が分からず、何かあったら連絡をくださいという場合も、親子の氏名と電話番号の交換で十分です。いずれの場合も、後日、治療費や慰謝料などを過大請求される場合もあるので、対処方法について、早めに弁護士などへ相談しておいたほうが無難です」

今回のように怪我がなかった場合でも、連絡先の交換は必要なのだろうか。

「怪我をした様子が全くなければ、謝罪はともかく、個人の連絡先を教える必要はありません。 連絡先を教えないという理由で相手方が激高し、場の収集がつかなくなるような場合には、速やかに警察を呼びましょう。丁寧に、しかし、毅然とした対応が必要です」

出会わないのが一番とはいえ、いざというときに忘れてはいけない心構えだ。

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(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

今田 健太郎
今田 健太郎(いまだ けんたろう)弁護士 弁護士法人あすか広島事務所
広島県出身。一橋大卒。大手ゼネコン勤務。広島簡易裁判所民事調停官(非常勤裁判官)。平成25年度広島弁護士会副会長。現在、日弁連災害復興支援委員会副委員長。「2010 頼れる身近な弁護士 全国103名リスト」遊学社掲載。広島大学法学部講師。東広島市入札監視委員等歴任。

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