東京地裁が10月9日、検索大手「グーグル」に対して出した仮処分命令が話題を呼んでいる。
この仮処分を申請した日本人男性は、自分の名前を検索すると「犯罪に関わっているかのような」検索結果が出てくるため、プライバシーを侵害されているとして、アメリカのグーグル本社に削除を求めていた。その主張の一部が認められた。
それでは、男性が求めた「検索結果の削除」は、実際に行われたのだろうか。男性の代理人である神田知宏弁護士に、現状を聞いた。
●削除を求めた237件のうち、116件が検索結果に表示されず
――検索結果は実際に削除されたのでしょうか。
「10月14日に調べてみたところ、仮処分申立で認められた122件のうち、43件がグーグルの検索結果に表示されていませんでした。また、申立で認められなかった115件についても、うち73件が表示されていませんでした。合計すると、削除を求めた計237件の検索結果のうち、116件が現在は表示されていない状態です」
――仮処分命令を受けて、グーグル側が削除したのでしょうか。
「そこは、わかりません。決定後に、検索結果を削除したという連絡は受けていません」
――今後、どのようなアクションが考えられるのでしょうか。
「グーグル側は10月10日に、代理人を通じて『削除するかどうか検討するため、URLのリストを送ること』『削除を検討する間、間接強制の申立を留保すること』の2点を求めています。
グーグルが、決定どおりに検索結果を削除してくれればよいのですが、削除されなければ、間接強制の申立を検討する必要があります」
――「間接強制」とはどんな手続きでしょうか。
「保全執行(強制執行)のひとつで、裁判所が、債務が履行されるまでの期間に応じて、または一定の期間内に履行しないときは直ちに、一定の金額を債務者から債権者に支払うように命じる方法です。債務者を心理的に強制することができます。
今回のケースでは、検索結果の削除を求めている男性が『債権者』、グーグルが『債務者』です。
保全執行の申立には期間制限がありますので、あと1週間ほどの間に削除されないようであれば、やはり申立をすることになるかもしれません」