ロシアの「切り裂きばあさん」逮捕。そんなニュースが8月、アメリカのニュース専門放送局「CNN」のウェブサイトで報じられた。容疑者は元ホテル従業員の68歳の女性で、少なくとも11人を殺害した疑いがもたれている。警察は、人肉食とオカルト信仰が殺人の動機だったとみて、捜査を進めているという。
警察が容疑者の逮捕に踏み切ったのは7月28日。サンクトペテルブルグ郊外のアパートから、真夜中に容疑者が、大きなプラスチックの袋を複数持ち出す姿をとらえたセキュリティ映像がきっかけだった。袋の中には、容疑者が一時同居していた女性の遺体の切断部位が入っていた。
警察は少なくとも11人の死亡について、容疑者と結びつける証拠があると発表している。人肉食については直接の証拠は提示していないものの、容疑者が事件について日記に詳しく記録していたと明らかにした。
「切り裂きばあさん」が実際に被害者を食べたかどうかはまだ明らかになっていないが、もし日本で人を殺して解体し、その肉を食べたら、どんな罪に問われるのだろうか。寺林智栄弁護士に聞いた。
●殺人罪と死体損壊罪に問われる
「仮に日本で起こった場合、殺人罪と死体損壊罪の罪に問われることになります。
遺体をバラバラにして食べるというのは、あくまで殺害後の死体の損壊方法の問題です。殺害方法自体が特に残忍なものでない限り、この点が、殺人罪の問題として取り扱われることはありません」
では、死体損壊罪の点からはどうだろうか。
「個人的には、バラバラに埋めた場合よりも、遺体をバラバラにして食べた場合のほうが刑が重くなる可能性があると思います。『損壊の方法が常軌を逸している』からです。
一方で、食べる行為は損壊後の行為なので、損壊方法の問題としては、量刑に反映されないという考え方もあるのではないかと思います。
ただし、遺族感情はかなり厳しくなることが予測されますので、その点が量刑を重くする要素として考慮されることは間違いないでしょう」
寺林弁護士はこのように話していた。