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弁護士に聞く“無駄な会議” トップは会務、改善求める声

弁護士に聞く“無駄な会議” トップは会務、改善求める声

会議 DX ツール「MeetingBase」を提供している弁護士ドットコムでは、会員弁護士に、日頃の会議の実態についてアンケートを実施し、419 人から回答が寄せられました(実施期間:2024年3月23日〜 3月29日)。依頼者の相談、弁護団や会務、行政の委員会など複数人が話し合う場を「会議」と定義して調査。その結果、7割超が会議中に無駄を経験し、最も無駄が多いと感じる1位は、「弁護士会などの会務」でした。中には「年長者の健康報告会になっていた」「参加者の自慢話で時間を浪費した」という意見も。弁護士たちの会議事情を探ります。 (弁護士ドットコムタイムズVol.71<2024年6月発行>より)

「年長者の健康報告会に」「参加者の自慢話で時間を浪費」

 まず会議中に無駄だと感じたことがあるかを尋ねたところ、「ある」と回答した弁護士が72.6%にのぼり、「ない」の27.4%を大きく上回りました。

自分が参加する会議が無駄だと感じた弁護士に、最も無駄が多い会議について尋ねたところ、「弁護士会などの会務に関する会議」が37.5%、「事務所内の情報共有などの会議」が26.6%、「顧客との打ち合わせなどの会議」が15.1%、「委員などを務める企業・外部団体の会議」が12.5%、「弁護団の会議」が 5.3%、「裁判所との打ち合わせなどの会議」が3.0%となりました。

自由回答で、体験談を聞きました。

【会務や弁護団の会議】
●委員会の会議。集まった目的を外れて年長者の先生方の健康報告会になっていた

●参加者が自慢話などをして時間を浪費する会議

●「私が中心になれないのであれば、委員会を辞める」などの発言をし、委員会の意思決定を妨害し続けた委員がいた。その委員の説得のために何時間も無駄にさせられた

●結論が決まっているのに、弁護士会内の民主主義(風)の体裁を整えるために行う会議

●そもそも存在価値がよく分からない弁護士会の委員会で、無益な報告を受けた

●弁護団の会議で、事案の検討や周辺知識を調べることなく参加している弁護士が、周辺の論点について意見・異論を述べるため、核心部分の議論が不十分になった会務や弁護団の会議は、弁護士が交流を行う場としての側面がある一方で、参加して話をするだけで役割を果たしていると考える人がいるようです。

【企業・外部団体の会議】
●行政職員による事前調整により結論が出されてしまっていて、実際の会議では何も協議されない、資料を読み上げるだけの会議

【事務所内の会議】
●忙しいパートナー弁護士が複数人集まり、金額的なインパクトが僅少である事項について長時間の協議がなされた

●一人の弁護士が自分の意見をただ述べるだけで、上司もその人をなだめるのに精いっぱいになり、何のための時間か分からないまま2 時間くらい過ぎた会議があった

【顧客との会議】
●こちらが聞きたいことではなく、依頼者が言いたいことだけを話して終わった。ガス抜き程度にはなったかもしれないが、聞きたいことが聞けなかったので、再度打ち合わせを入れることになった

 


「年長者に気を遣いすぎ」「メールで済ませる感覚がない」

 自分が参加する会議中に無駄だと感じることを尋ねたところ(複数回答可)、「長時間の会議」が73.4%、「議題が不明瞭」が52.6%、「会議の目的とは異なる雑談」が31.3%と決め事を無視して進められることに対する内容が上位を占めました。続いて、「意思決定しない」が28.6%、「別の方法(メールや社内ポータル等)で既に伝えている事項を改めて共有する」が23.4%、「不要な人員が多い」が17.1%、「細かく作業の進捗確認をする」が13.2%など、意思決定できるような進行計画を事前に考えずに会議が開催されているようです。「その他」の5.6%は、「オンラインで十分だと思われる会議にわざわざ対面での出席を要求される」「会議への参加者が多く、内容が被る発言が多い」「上の期の弁護士への忖度で本音が言えない」などの声がありました。

無駄な会議になってしまう理由としては、自由回答で以下のようなものがありました。

【会務や弁護団の会議】
●弁護士たちの間に、会議そのものにかかる時間を節約する意識がなく、コストについての意識がない

●報告だけならメールで共有すれば済む、という感覚のない弁護士がいる

●5分で済むことのために、片道30分の移動を要するなど。Web会議導入で改善されたが、刑事事件は相変わらず

●議題とは無関係の発言を制限しない、終了時間を決めない、年長者に気を遣いすぎる

●特に弁護士会の会議や弁護団会議では、関係ない部分での議論 が 多い。しかし、関係ある人だけで会議を開いていたら、業務負担の過多不均衡が改善されず、関係ない人に仕事を振る観点、理解してもらう観点からも、出席は求めざるを得ない状況が続いているように感じる

【企業・外部団体の会議】
●日本の行政機関は、会議をしたという形式だけが大切だと感じているから

●外部委員の会議の場合、元々の人間関係がなく、お互い遠慮がある。それぞれの属している母体での会議文化が異なり、遠慮をし合って無駄に丁寧になる。また、委員長に選任された方や事務局に仕切れる人がいないと悲惨な状態になる

【顧客との会議】
●依頼者自身が、自分がお金を払っている以上、自分の話を聞く義務が弁護士にあると思い込んでいる(お金を払っている以上、弁護士を時間的場所的に拘束できると思っている)

●顧客(特に法人)は、自分の事情・考え方等を分かって欲しいので色々いうが、「ではどっちにしますか?」と聞いたら決断できない


過半数が内職、「何もしない」人たちも

 自分が参加する会議が無駄だと感じた経験者に、どんな行動をとるかを尋ねたところ(複数回答可)「こっそり別の作業をする」が51.3%と最も多く、無駄を感じても対策を講じずに、密かに自分のやるべきことを進めている実態が明らかとなりました。次いで、「特に何もしない」が26.6%、「自分が議論を主導する」が25.7%、「参加をやめる」が21.4%、「改善策を提案する」が12.2%「居眠りする 」が3.9%、「その他」の2.0%は「オンラインなら画面オフ」「何もしないで外の景色を見るなどして頭をリセットすることに努める」などの声もありました。
 

本アンケートでは、ルールや手続きのプロである弁護士でも日々の会議に苦戦している実態が明らかになりました。会議を効率化したいと考える弁護士は、ご自身で比較的コントロールしやすい顧客との会議から改善してみるのが良いかもしれません。

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