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著名弁護士の本棚〜実務で使うおすすめ書籍5選〜 【労働(使用者側)】向井蘭弁護士

著名弁護士の本棚〜実務で使うおすすめ書籍5選〜 【労働(使用者側)】向井蘭弁護士

各分野の著名弁護士にインタビューし、若手や初学者向けの「おすすめ書籍=推し本5冊」を選んでもらいました。(弁護士ドットコムタイムズVol.69<2023年12月発行>より)

労働(使用者側)

 使用者側の労働問題に精通する向井蘭弁護士。10年ほど前から中国の日系企業にも人事労務のコンサルティングを提供しており、間近で見る中国の経済成長に影響を受けているという。

 「中国はとにかく判断や仕事が早く、自分もスピード優先で仕事をするようになりました。営業熱心なところも見習い、ウェブセミナーを定期的に実施して集客にも好影響が出ています」

 同時に、日本の労働環境の特殊性や保守性も感じるようになったといい、各国の情報を調べて『教養としての「労働法」入門』にまとめた。

 「日本の企業は揉めごとを極端に嫌います。問題社員に対して日報を書かせるなど、合法的なアプローチすら避け、問題を放置しがち。一方、中国の企業や外資系企業は全体の生産性を上げるためならお金を払うし裁判も辞さないことが多い」

 推薦図書の『「問題社員」対応の法律実務』や『解雇・退職』は、出版年自体は少し古いが、問題従業員の退職・解雇問題への対応法を体系的にまとめた書籍だ。

 「全体像を掴むという点では、昔とほとんど変わっていません。ただ、近年の裁判例では、外資の事例を中心に減給や整理解雇について比較的柔軟に認めるものが増えています。労働法自体が抜本的に変わることはないにしても、少しずつ変化は生まれていくのかもしれません」

 このほか、裁判官による解説書『類型別 労働関係訴訟の実務』は、本誌2023年6月号で労働者側の佐々木亮弁護士も推薦。『菅野労働法』と合わせて、労働事件では定番と言えそうだ。

【向井弁護士の5冊&ひとこと】

  1. 『教養としての「労働法」入門』向井蘭・編著 日本実業出版社/発行 2021年3月 2,200円(税込) 歴史や海外との比較から日本の労働法の全体像を描く
  2. 『「問題社員」対応の法律実務:トラブル防止の労働法』石井妙子・著 経団連出版/発行 2012年5月 1,540円(税込)問題社員対応の元祖とも言える有名書 裁判例に則った具体的対策を列挙
  3. 『類型別 労働関係訴訟の実務〔改訂版〕Ⅰ・Ⅱ』佐々木宗啓ほか・著 青林書院/発行 2021年6月(Ⅰ)4,950円(税込)・(Ⅱ)5,170円(税込)裁判官10人超が頻出論点を整理 準備書面でも引用しやすい
  4. 『Q&A労働法実務シリーズ<6>解雇・退職[第4版]』加茂善仁・著 中央経済社/発行 2011年5月 4,400円(税込)解雇の裁判例を体系的に整理 解雇規制の全体像を把握できる
  5. 『労働法』菅野和夫・著 弘文堂/発行 2019年11月 7,150円(税込) 労使双方に愛用される言わずと知れた労働法の基本書


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向井蘭弁護士

杜若経営法律事務所。第一東京弁護士会。56期。

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