著名弁護士の本棚〜実務で使うおすすめ書籍5選〜 【離婚・男女問題】久保田有子弁護士
各分野の著名弁護士にインタビューし、若手や初学者向けの「おすすめ書籍=推し本5冊」を選んでもらいました。(弁護士ドットコムタイムズVol.71<2024年6月発行>より)
離婚・男女問題
離婚問題を中心に多くの著作がある久保田有子弁護士。1冊目の『離婚調停』の著者は元家裁所長で「基本的な実務を知るうえで、裁判官出身者の著書は有益」という。本誌2023年6月号で中里妃沙子弁護士も推薦した名著だ。
2、3冊目も元裁判官の本。『人事訴訟の要件事実と手続』については、「民事に比べ意識が弱くなりがちですが、人事訴訟でも要件事実を意識することはミス防止や迅速な事件処理に必要不可欠」。『即解 330問』は「法律相談の際に手元にあると安心」。同じ著者の『〔改訂版〕婚姻費用・養育費の算定』(新日本法規出版)も推す。
2000年の登録当時は離婚専門の弁護士が少なく、実務書の数も限られていたという。『離婚判例ガイド』は若手時代から愛用する一冊。保全・執行事件は急な対応が求められるため、『家事事件における保全・執行・履行確保の実務』が手元にあると安心だ。このほか『新版 証書の作成と文例 家事関係編[改訂版]』(立花書房)は公正証書の作成で必ず参照するという。
自身も編著者として2、3年おきに出版に携わる。『離婚事件 財産分与実務処理マニュアル』、『不貞慰謝料の算定事例集』(いずれも新日本法規出版)など、出版社と連携し類書との差別化を図る。離婚分野は社会の価値観とともに実務も変わりやすい。特に共同親権の関係で、今後数年の最新動向は要チェックという。
依頼者との関係では納得感を大切にする。「離婚はお金だけでなく、気持ちの問題も大きい。離婚後も人生は続くので、納得して次のステップへと考えています」。離婚以外では、若手時代から障害者や高齢者問題に注力。近年では労災にも取り組む。「感謝の言葉をいただくと、やりがいを感じます」。
【久保田弁護士の5冊&ひとこと】
- 『離婚調停(第4版)』秋武憲一・著 日本加除出版/発行 2021年4月 3,960円(税込) 誰もが認める元家裁所長による名著コラム欄も面白く、ためになる
- 『人事訴訟の要件事実と手続』岩井俊・著 日本加除出版/発行 2017年6月 7,260円(税込)広く身分関係訴訟について解説 経験の少ない種類の案件処理でも頼りに
- 『即解 330問婚姻費用・養育費の算定実務』松本哲泓・著 新日本法規出版/発行 2021年9月 2,090円(税込)依頼者からよく出る質問がQ&A形式でわかりやすく充実の内容をコンパクトに
- 『離婚判例ガイド[第3版]』二宮周平/榊原富士子・著 有斐閣/発行 2015年4月 3,410円(税込)多数の裁判例をコンパクトにまとめた大家による長く読み継がれる一冊
- 『家事事件における保全・執行・履行確保の実務』日本弁護士連合会家事法制委員会・編 日本加除出版/発行 2017年3月 4,400円(税込)家事事件の保全・執行等に特化した珍しい一冊 発刊以降の法改正は要フォロー
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久保田有子弁護士
ヒヤマ・クボタ法律事務所。大阪弁護士会。52期。