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140万超の事件で報酬請求、認定司法書士が敗訴 弁護士会は刑事告発を予定

140万超の事件で報酬請求、認定司法書士が敗訴 弁護士会は刑事告発を予定

鹿児島市の認定司法書士が、損害賠償額が140万円を超える交通事故の事件を受任し、依頼者に報酬を請求した裁判で、鹿児島地方裁判所は2020年12月に請求を棄却する判決を出し、2021年4月に福岡高等裁判所で確定した。判決確定を受けて鹿児島県弁護士会は5月11日、「依頼者や関係者の利益や、健全な法秩序が害される危険がある」「法の支配の空洞化につながり、座視することはできない」と非難する会長声明を公表した。弁護士会は、司法書士の刑事告発も予定している。

地裁判決によると、司法書士は2018年6月、鹿児島県内で起きた自動車事故で負傷した女性との間に、損害賠償請求事件に関する「法的手続きと裁判書類作成、付帯する一切の処理」の委任を受ける契約を交わした。

契約は、着手金5万円、訴状作成報酬5万円などのほか、成功報酬として「回収額の20%、140万円を超える部分については10%」とする内容だった。

司法書士は19年2月、保険会社から保険金として270万6984円を受領し、同月に140万円までの成功報酬として28万円、140万円を超える分として13万698円のほか、実費と消費税相当額を含め、44万4109円を女性に請求した。

請求が高額だと感じた女性が、保険会社に相談していたが、司法書士が19年9月、鹿児島県の指宿簡易裁判所に支払督促を申し立て、翌10月に督促が出された。女性が異議を申し立てたことことで、同月に訴訟に移行した。

女性は日本法律支援センター(法テラス)に相談し、本人訴訟として裁判を行った。原審の指宿簡裁は同年12月、「140万円を超える損害賠償請求事件は司法書士に認められる業務といえず、女性との契約締結は弁護士法72条に違反」として、司法書士の請求を棄却する判決を言い渡した。

その後、司法書士が控訴。法テラスが鹿児島県弁護士会に情報提供し、女性が相談したことで、同会の非弁護士取締委員会で委員長を務める松比良剛弁護士らが女性の代理人に就任した。

控訴審の鹿児島地裁で司法書士は、「女性との契約締結時点では損害賠償の請求額が判明していないため、140万円を超えない場合は簡裁での手続代理、140万円を超える場合は地裁での本人訴訟の支援を前提とした裁判書類の作成を受任した」「和解代理などの法律事務は一切していない」などと主張した。

対して鹿児島地裁は、司法書士が女性に対し、保険会社から提案された示談内容について意見を述べたり、事故の相手方が契約している保険会社に連絡したりしており、「専門的な法律知識を駆使して相談や裁判外の和解に関する代理事務を行っているというほかない」などとして、主張を退けた。

また、地裁では司法書士が契約締結時に、140万円を超える請求になると認識していたかも争点になった。対して地裁は、女性の入院、通院、休業に加え、契約で140万円を超える部分の成功報酬を定めていたことなどから、「(140万円を超える)蓋然性が高いことを認識していた」と判断。指宿簡裁と同様、契約が弁護士法72条に違反にあたり「無効」と判断した。

さらに、司法書士に対し、「認定司法書士としての職分を大きく逸脱し、女性の弁護士を通じた適正な損害賠償を受ける利益を失わせた」とも指摘した。司法書士は福岡高裁に上告したが、2021年4月に棄却され、判決が確定した。

鹿児島県弁「法の支配の空洞化につながる」


鹿児島県弁護士会は5月11日に公表した保澤享平会長の声明で、司法書士などによる非弁行為について「能力的担保も厳重な監督もないままに法律事務の取扱いを行う点で、事件屋が暗躍する場合と実質的に差異はない」と指摘。「(非弁行為の)事例が多数発生した場合、究極的には法の支配の空洞化につながりうるものであり、座視することはできない」とした。

今回の事案について、鹿児島県弁護士会の松比良弁護士は、「非弁行為を行った司法書士側が、支払督促の申し立てや、訴訟の提起を行うなど、非常に悪質な事案」と指摘。会長声明の公表に関しては、「非弁業者に警告するだけでなく、非弁業者に依頼して、和解成立などの解決に至っても、法律違反により無効になってしまうリスクがあると、相談者側にも注意喚起したい」と語った。

司法書士「全く納得していない」


司法書士は弁護士ドットコムタイムズの取材に対し、「事実認定が間違っている。判決の内容には全く納得いっていない」と話した。

※画像はピクスタ

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