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「弁護士が頑張って」死刑廃止の州も 日弁連シンポ

「弁護士が頑張って」死刑廃止の州も 日弁連シンポ

「刑罰制度や死刑廃止について考えるシンポジウム」(主催・日本弁護士連合会)が4月12日、オンラインで開催された。シンポでは、死刑存置国であるアメリカの死刑制度の現状や終身刑についての報告などがおこなわれた。 【写真】左から小田清和弁護士、笹倉香奈氏(東京都内、4月12日、弁護士ドットコム撮影)

死刑を廃止したバージニア州「弁護士が頑張った」

アムネスティ・インターナショナルのデータによると、2020年の死刑存置国の数は55カ国に対して、法律上・事実上の廃止国の数は144カ国。日本も存置国だが、2020年は1年を通して死刑が執行されなかった。

シンポで講演をおこなった甲南大学法学部教授の笹倉香奈氏(刑事訴訟法)は、アメリカの現状について説明。アメリカは、2021年4月時点で50州のうち26州が法律上死刑を廃止あるいは執行停止している。

笹倉氏によると、アメリカでは州議会による立法で死刑を廃止している州が少なくないという。1976年にアメリカ最高裁が死刑を支持して以降、テキサス州に次いで2番目に死刑執行人数が多かったバージニア州も、2021年3月、州議会による立法で死刑を廃止した。

「死刑の廃止に至った理由はいくつか考えられますが、もっとも指摘されているのは『弁護士が頑張ったから』という理由です。2002年から2003年にかけて地域ごとに専門的に死刑事件の弁護事務所が設立され、きちんとした証人尋問がおこなわれるなど、死刑事件弁護が飛躍的に向上しました。その結果、バージニア州では2011年以降は死刑判決が言い渡されていませんでした」(笹倉氏)

笹倉氏によると、死刑判決が減ることで、検察官による死刑廃止の呼びかけも始まり、結果的に死刑廃止につながったという。

各州では死刑の廃止に向かう動きはあったものの、ドナルド・トランプ政権下では連邦政府による死刑執行がおこなわれていたという。しかし、2021年に就任したジョー・バイデン大統領は「死刑を廃止する」ことを公約に掲げているため、笹倉氏は「トランプ政権のように死刑がおこなわれることはないのでは」とした。

死刑の代替刑、日弁連は「仮釈放のない終身刑」を提案

日弁連は、これまで死刑に反対する立場を示し続けてきた。代替刑として提案しているのは「仮釈放のない終身刑」だ。小田清和弁護士(日弁連死刑廃止及び関連する刑罰制度改革実現本部副本部長、広島弁護士会)は「仮釈放がない場合は(終身刑となった人が)絶望の中に陥ってしまう可能性もある。減刑手続制度を設け、終身刑から(仮釈放のある)無期懲役に減刑する道を残すことを考えている」と説明した。

現状は「終身刑」自体が刑罰として規定されていないため、処遇に関する規定もない。小田弁護士は、「いずれは終身刑の処遇規定も必要」と「社会復帰の可能性がない人に対して、社会復帰のための改善指導などをおこなうことの意味を考えなければならない」とした。

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