著名弁護士の本棚〜実務で使うおすすめ書籍5選〜 【刑事事件】趙誠峰弁護士
各分野の著名弁護士にインタビューし、若手や初学者向けの「おすすめ書籍=推し本5冊」を選んでもらいました。(弁護士ドットコムタイムズVol.67<2023年6月発行>より)
書籍や研修通し若手育成
東京法廷技術アカデミー(TATA)でインストラクターを務めるなど、若手育成にも力を入れる趙誠峰氏。自身も執筆に携わった『刑事弁護ビギナーズver.2.1』は、「この通りやれば、一定水準の弁護活動ができるようにとつくりました。今でも羅針盤として役に立つと思います」。
『刑事法廷弁護技術』は、第一人者らのノウハウが詰まった「現時点で日本の最先端の本」。英国人弁護士が書いた『弁護のゴールデンルール』は格言集で、民事にも通じる部分が多いという。
また、植村立郎監修『刑事上訴審における弁護活動』(成文堂)は、上訴審の手引書として事務所の若手から推薦があったそうだ。
刑事弁護人こそ「憲法」と「六法」を大事に
ただし、趙氏が刑事弁護でもっとも大切だと思うのは「六法」だという。
「刑事手続において、私たち弁護人にとって最大の武器は法律です。法律で定められている通りの手続きを求めることがとても重要で、法律で定められていることであれば誰も異論を挟めません。小手先の技術よりも、まずは法律、そして判例・裁判例を理解し、瞬時に使えることが大切です」
さらに、「刑事弁護と憲法は切り離せない。憲法に根ざす意識を持ってもらいたい」と、趙氏が推薦したのが『憲法的刑事手続』。刑事に関する憲法の条文を制定過程からまとめた珍しい一冊だ。
このほかでは、元裁判官の木谷明弁護士が著した『刑事裁判の心』も「原点に帰れる」。弁護士視点で30カ国の裁判を傍聴した原口侑子『世界裁判放浪記』(コトニ社)も「読み物として面白いし、視野が広がる」と推した。
【趙弁護士の5冊&ひとこと】
- 『刑事弁護ビギナーズver.2.1』現代人文社/発行・2019年3月 3,410円(税込)新人弁護士必携刑事弁護入門書の改訂版
- 『刑事法廷弁護技術』高野隆/河津博史・編著 日本評論社/発行・2018年2月 3,190円(税込)刑事弁護の第一人者らが最新の法廷技術を解説
- 『憲法的刑事手続』憲法的刑事手続研究会・編 日本評論社/発行・1997年11月 7,260円(税込)刑事手続に関する憲法条文を紐解く
- 『弁護のゴールデンルール』キース エヴァンス・著 高野隆・訳 現代人文社/発行・2000年3月 1,870円(税込)英国の弁護士による法廷技術の格言集一般読者も視野に入れた面白さ
- 『刑事裁判の心-事実認定適正化の方策』木谷明・著 法律文化社/発行・2004年7月 3,960円(税込)「疑わしきは被告人の利益に」を実践し、多数の無罪を言い渡した元裁判官の論集
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趙誠峰弁護士
Kollect アーツ法律事務所。第二東京弁護士会。61期。