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財産開示に不出頭で刑事告発 弁護士に意図を聞いた

財産開示に不出頭で刑事告発 弁護士に意図を聞いた

高橋和央弁護士(札幌弁護士会)は4月12日、財産開示手続きで出頭するよう札幌地方裁判所から命じられたにもかかわらず、出頭に応じなかったとして、札幌市の男性を民事執行法違反の疑いで、札幌市の豊平警察署に刑事告発した。

刑事告発したのは、高橋弁護士と小野寺優剛弁護士、小川耕平弁護士(いずれも札幌弁護士会)の3人。高橋弁護士は今回の刑事告発について、「財産開示手続きに応じないため、貸金を回収できずに泣き寝入りしている債権者は少なくない。不出頭者に対する告発の動きが広がり、罰を受けるケースが増えれば、出頭率も上がるのではないか」としている。

高橋弁護士によると男性は、2020年8月、知人女性から借りていた約210万円を返還するよう命じる判決を札幌地裁から受けた。8月に判決は確定した。同月に男性の預金口座が差し押さえられたが、残高が数万円しかなく、女性の代理人弁護士を務めていた高橋弁護士が同年10月、財産開示手続きを札幌地裁に申し立てた。

申し立てを受けた札幌地裁は、2021年1月に財産開示の期日を設け、男性に出頭するよう命じたが、男性は出頭しなかった。

高橋弁護士は、男性の財産開示手続きに対する不出頭は民事執行法に違反するとして、事件を担当し、財産開示の期日に出頭した小野寺弁護士、小川弁護士と連名で、今年4月12日に豊平警察署に刑事告発した。男性は裁判期日の欠席も続けており、告発した理由について高橋弁護士は、「出頭できない理由があれば、男性は裁判所に連絡するべきだが、連絡していない。正当な理由がないのに出頭しなかったと判断し、告発した」とした。告発状は受理されたという。

罰則強化も半数ほどが不出頭


財産開示手続きに対する正当な理由がない不出頭については、2020年4月に民事執行法の改正により、従来の「30万円以下の過料」から、「6カ月以下懲役」または「50万円以下の罰金」に、罰則が強化された。

一方、罰則を強化したあとも、財産開示手続きの不出頭のケースが相次いでいる。札幌高等裁判所によると、北海道内では2020年4月から翌年3月までに134件の財産開示手続きに対する出頭命令が出されたが、実際に債務者が出頭に応じたのは半数ほどにとどまるという。

不出頭が相次ぐ背景について、高橋弁護士は「罰則が適用されないケースが多いため、不出頭が相次いでいるのだろう」と分析。民事執行法の改正前も、過料の罰則が設けられていたが、「裁判所には調査権限がないため、不出頭の理由を把握できず、過料を科すことはほぼできなかったのではないか」と指摘している。

法改正による罰則強化はあったものの、「刑事罰が設けられたものの、不出頭の情報は警察や検察に自動的に入ってくるものではないので、債権者や弁護士などが告発しなければ事件として発覚しないだろう。警察や検察自らが捜査を開始する可能性は低いので、罰則強化の効果には疑問がある。結局は告発しなければ捜査が行われないのではないか」と見通す。

高橋弁護士は刑事告発について、「告発するケースが増え、不出頭は刑事罰の対象になるという認識が広まれば、出頭率も増えるのではないか」と期待する。また、一般の債権者が告発状を提出しようとしても、「前例が少ない」「証拠が足りない」などの理由で受理されにくい可能性を指摘し、「弁護士であれば、受理するよう警察を説得しやすいはず。弁護士は積極的に告発に関わって欲しい」と話す。

※画像は札幌地方裁判所(PIXTA)

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