法テラスの相談件数が8年ぶりに減少
法テラスは4月9日、2020年度の相談件数の総数は約29万件で、2019年度の約31万5000件から、約1割、約2万5000件減少したと公表した。2012年度以降、相談件数は増えていたが、8年ぶりの減少。法テラスは、新型コロナウイルス感染症拡大への対応として、電話での法律相談も開始したが、法テラスの担当者は「相談の予約時に、電話相談だけでは弁護士に依頼できない点を伝えており、法テラス以外の相談先を探した人が多かったのではないか」と分析している。
法テラスによると、2020年度の相談件数は、対面相談と電話相談合わせて28万9829件。2019年度の31万5085件から、2万5256件の減少となった。相談件数が減少した分野について、法テラスの担当者は「相談件数が顕著に変化した分野はなく、全体的に相談件数が減少した」としている。
相談件数の減少について法テラスの担当者は、「法的なトラブル自体が減少したのか、新型コロナウイルスの感染拡大が原因か、現時点では分析できていない」としつつも、「外出自粛による影響で相談件数が伸び悩んだ可能性がある」としている。相談件数減への対応については、「減少の原因を分析してから検討する」という。
新型コロナ対応の電話相談に約4万件
新型コロナウイルスの影響をうけて、法テラスは、昨年5月、全国に電話相談を設置。今年3月末までに約4万件の相談を受けた。法テラスの担当者は電話相談について「新型コロナウイルスの影響で外出を自粛している人の相談に応じることができた」と評価した。一方、相談者が法テラスの代理援助制度を利用する場合、法テラス事務所での面談が必要なことから「電話相談だけでは対応に限界があった」との課題を示した。
法テラスによると、昨年5月から今年3月末までの電話での相談件数は4万679件。電話相談の利用割合が多かった都道府県は、沖縄県(39.85%)がトップで、東京都(39.18%)、神奈川県(31.24%)、千葉県(28.55%)、福井県(21.23%)と続いた。対して、全国平均は14%となっている。
また、同時に法テラスに寄せられた新型コロナウイルス関連の相談(総数1万2612件)の内訳も発表した。最多は債務関連の27%、労働関連が18%、男女・夫婦関連が8%と続く。相談内容の一例として、債務関連では「アルバイト先の休業により、収入が減り借金の返済ができなくなった」という相談があったほか、労働関連では「勤務先が悪化し、退職を迫られたが、拒否したところ翌日に書面で解雇を通知された」などがあった。
※画像は法テラスホームページのスクリーンショット