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「地方に弁護士が足りない」の声も ひまわり基金シンポ

「地方に弁護士が足りない」の声も ひまわり基金シンポ

【本記事は2020年11月25日に公開したものです】日本弁護士連合会(日弁連)は11月24日、「ひまわり基金法律事務所」の開設20周年を記念し、シンポジウム「ここに弁護士がいてよかった」をオンラインで開催した。沖縄県石垣市のひまわり基金法律事務所の所長弁護士として、6年間赴任した弁護士は、「地方に弁護士が足りない。地域で働く若い弁護士が増えることに期待したい」と述べた。

相談ニーズが高い司法過疎地「1人ですべてを請け負うには限界」


ひまわり基金法律事務所は、地方裁判所支部の管轄区域内で弁護士が2人に満たない「弁護士ゼロワン地域」の解消を目的に、2000年6月に初めての事務所を島根県浜田市に開設。以来、122の法律事務所が開かれ、独立した事務所などを除き、現在36の法律事務所が稼働している。

ひまわり基金法律事務所の普及により、2010年に、地裁支部の区域内に弁護士がいない地域はなくなった。しかし、弁護士が1人のみの地域は、現在も2つが残る(千葉県佐原地区、岡山県新見地区)。

パネルディスカッションには、ひまわり基金法律事務所で働いた経験のある弁護士が登壇。2005年から2年半、福島県の「相馬ひまわり基金法律事務所」の初代所長として赴任した葦名ゆき弁護士(静岡県弁護士会)は、司法過疎地では、弁護士の不足により、法律相談の需要に応えきれていない状況があると指摘し、「(相馬地域の)管内人口12万人を実働弁護士2人で回すのは無理だった」と振り返る。

赴任した2年半の間に、債務整理を中心に740件の法律相談に応じ、460件の事件を受任。しかし、弁護士との物理的な距離感から「近くに弁護士がいないと相談に来られない、弁護士を頼れない(人もいると感じた)」という。

そこで、葦名弁護士は、同じ地域の司法書士と連携し、一次的な相談を受けてもらい、訴額を超える案件を弁護士に紹介する体制を敷いた。「自分一人でできることには限りがあって、できることとできないことを分けて、いろんな人と手をつなぐ努力が必要だ」と話した。

沖縄県石垣市の「八重山ひまわり基金法律事務所」の所長を務めた米元悠弁護士(沖縄弁護士会)もパネルディスカッションに参加。2014年から6年間に、1400件の相談と600件の事件を取り扱った中で「1人ですべてを請け負い、判断するのは責任が重い。事件の種類や数も1人では限界がある(と感じた)」という。

弁護士不足の課題を克服するために、今年からひまわり基金法律事務所から独立し、弁護士法人「空と海」(主事務所:東京都)の事務所を、石垣島にひらいた。米元弁護士は、弁護士法人に加入したメリットについて、「1つの事件に複数の弁護士が関わることで、事件の質も高まる」と指摘。その上で、「地域に残りたいけど、デメリットがあって躊躇する弁護士のモデルケースになれば」と話した。

ひまわり基金法律事務所の今後の課題について米元弁護士は、「まだまだ、地方に弁護士が足りないという印象を持っている」と指摘し、「地域で働く若い弁護士が増えることは望ましい」と話した。

基調講演を行った飯考行専修大学教授は、「大分・宮崎両県では昨年度、新人弁護士登録がゼロだった」という昨年の読売新聞(九州版)の記事を紹介。地方に弁護士が集まらない原因として、「弁護士になりたての若手は、大都市志向が強まっている傾向がある」と分析した。

(写真 パネルディスカッションの様子 撮影/弁護士ドットコムタイムズ、2020年11月24日)

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