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がん闘病中のバイオリニスト 林功弁護士 半年ぶりコンサート再開

がん闘病中のバイオリニスト 林功弁護士 半年ぶりコンサート再開

膵臓がんと診断され、闘病生活を続けながら弁護士活動に取り組む林功弁護士(64)(大阪弁護士会)は、アマチュアバイオリニストとしての顔も持つ。コロナの影響で約半年間、開催できなかった演奏会を10月25日に再開した。闘病生活を続けながらの弁護士活動や、バイオリン演奏を続ける理由について聞いた(インタビュー日:2020年10月29日)。

──がんであることを診断された時のことについて教えてください。


2015年11月の健康診断で、膵臓がんの指標とされる数値の基準値が、正常な範囲を超えたことを知りました。2016年はじめに受けた精密検査の結果、膵臓がんと診断されました。同じ年に、膵臓の組織を摘出する検査や手術、抗がん剤治療のため3回入院しました。

2019年6月に再発がわかり、その年8月と今年2月にも、抗がん剤を変えるためにそれぞれ10日程度、入院しました。今年7月には、肺への腫瘍の転移が見つかっています。

──がんの闘病は、弁護士活動にどのような影響を与えていますか。


がんになる前までは、夜討ち朝駆けが当たり前の弁護士活動を送っていました。しかし、がんになってからは、ムチャクチャに働くようなことはなくなり、最近は弁護士会の業務も徐々に減らしています。他の弁護士も、私の病気を知っているため、「サボっても仕方ない」と笑って許してもらっています。

事務所では、主に会社法務を扱っていますが、体への負担が大きな訴訟は、減らしました。私と同じようにがんと闘病している依頼者と会っても、他人事のように感じなくなりました。がんであることを特に隠していないため、私にがんを打ち明けてくれる依頼者もいます。

──バイオリン演奏と弁護士活動はどのように両立していますか。


バイオリンは、小学校に上がった頃から始め、50年以上続け、いまでも毎日15分程度練習しています。司法試験の勉強中や、仕事が立て込むシーズンなど、練習から遠のいた時期もありましたが、気がつけば、バイオリンに戻っていました。

バイオリンと仕事は、当初はまったく別のものだと思っていました。しかし、15年くらい前のある日、バイオリンと弁護士活動に心の痛みに寄り添うという共通点を感じました。作曲家が曲作りを行う根底には、心の痛みや揺らぎのようなものがあるからです。

最近は、抗がん剤治療によって、手足にしびれを感じる時もありますが、演奏に集中している時はしびれを忘れるような状況で、バイオリンの演奏には支障を感じません。

──2019年春に演奏会を始めたのはどうのようなきっかけでしたか。


妻(のぞみさん)と2019年、フェイスブックで知り合い、意気投合するうちに演奏会をやろうという話になりました。彼女はプロのビオラ奏者ですが、私のバイオリンと持ち替えて演奏したら面白いじゃないかと。妻の知り合いに病院の関係者がいて、入院患者向けに無料で行うことになりました。

途中で楽器を持ち替える面白さが聴衆に伝わり、演奏会は良い反応をもらいました。それからの1年間に、病院での演奏会を3回、他に公民館などでも開催し、1年間に5〜6回ほど演奏の機会がありました。演奏会を重ねるごとに妻との距離が近づき、今年2月に結婚しました。

コロナウイルスの流行が始まったのは、結婚した頃です。聴衆を前にした演奏会ができず、寂しい思いをしましたが、その間も、音がぶれないように演奏するような基本的な練習は続けました。

──10月25日に半年ぶりに演奏会を再開しました。感想はいかがですか。


約30名の参加者を前に、和気あいあいと演奏しました。曲は、モーツァルトの協奏交響曲やドボルザークの三重奏などです。ビオラの妻や知り合いのピアノ奏者などとともに演奏しました。

インターネットでのコンサート配信も増えましたが、演奏中に観客の顔が見え、息遣いが伝わるのは生の演奏会ならではです。観客の呼吸が聞こえてくるようで、感触がつかめることに喜びを感じます。

秋はコンサートのシーズンですが、コロナ禍ということもあり、演奏会は例年の秋より少ないのが現状です。だからこそ、場を共有する有難みはひとしおです。

──がんや病気と闘病しながら弁護士活動を続ける方へのメッセージをお願いします。


他の人がみれば、闘病生活は大変だと思うかもしれません。しかし、今も仕事に集中している時は病気のことを忘れるほど、仕事に面白さを感じています。老いや病気で体力の衰えを感じますが、置かれた境遇で、一生懸命に仕事をすれば、意外に苦しくないものだと感じています。

(写真は演奏会の林功弁護士(写真左)と、妻ののぞみさん 林弁護士提供、2020年10月25日撮影)

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