取調べ可視化「全事件・全過程に拡大を」 日弁連のフォーラムで当事者らが訴え

取調べ可視化「全事件・全過程に拡大を」 日弁連のフォーラムで当事者らが訴え

【本記事は2020年10月5日に公開したものです】日本弁護士連合会(日弁連)は9月30日、「取調べの可視化フォーラム 日常の隣にある密室の取調べ」を開催した。フォーラムでは、不起訴後に国家賠償請求が認められた男性や代理人弁護士らが、取調べが録画されない「密室の取調べ」の危うさ指摘し、取調べ可視化の拡大を訴えた。

フォーラムは、東京・築地市場で2007年10月、寿司店を経営する二本松進さんが、駐車違反の取り調べ中に、警察官にけがを負わせたとして、公務執行妨害で逮捕され、不起訴処分となった「築地事件」がテーマ。国家賠償請求訴訟を起こし、2016年11月、東京高裁が240万円の賠償を認める一審判決を支持し、警察捜査の違法が確定した。

パネルディスカッションでは、国賠訴訟の代理人を務めた小部正治弁護士や今泉義竜弁護士が登壇した。

築地事件における警察の取調べについて、小部弁護士は「警察は、自分が作ったストーリーに合った供述調書しか作らない。被疑者が何度訴えても、不利益な調書は作らない」と問題点を指摘した。今泉弁護士は、警察の取調べの中で、現場にいた二本松さんの妻が暴行を目撃したとする虚偽の供述を用いて、二本松さんに心理的な揺さぶりをかけた点について、「(一般的に被疑者が心理的に)揺さぶられ、自白することは多いのではないか」とした。

日弁連取調可視化本部で副本部長を務め、取調べ可視化制度の導入に取り組んできた前田裕司弁護士も参加し、「捜査官に、被疑事実についての思い込みがあれば、強い意志が現れる。被疑者は、雰囲気により捜査官に迎合する」と密室の取調べの危険性を指摘した。

また、前田弁護士は、対象事件以外にも録画取調べを進める検察に比べ、警察の録画取調べの状況は「極めて限定的」と指摘。警察には「録画していないことを理由に、強圧的な取調べをする環境が存在している」とした。

今後の課題として小部弁護士は、「根本的な問題は、警察や検察が勾留請求・延長が制約なくできる点」を指摘。取調べ可視化のみならず、「(捜査機関が)被疑者を脅したり、嘘を言ったり、自由にできることを規制しない限り、冤罪・嘘の自白は終わらない」と捜査方法に対する規制を訴えた。

今泉弁護士は、「被疑者だけでなく、目撃者・被害者の取調べも録画し、当時何を言っていたかを当時のまま残す必要を感じる」と述べ、現行制度では被疑者に限定されている録画対象の拡大を訴えた。前田弁護士は任意聴取の段階からの可視化を提言した。

(画像・9月30日撮影/弁護士ドットコム)

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