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「法務省の信頼回復に取り組む」「死刑廃止、現在は適切ではない」上川法相が初登庁後会見

「法務省の信頼回復に取り組む」「死刑廃止、現在は適切ではない」上川法相が初登庁後会見

【本記事は2020年9月17日に公開したものです】9月16日に発足した菅内閣で法務大臣に就任した上川陽子衆議院議員が同日深夜に初登庁し、法務省内で記者会見を開いた。 上川法相は、今回で3回目の法務大臣就任となる。「国民の命を守る、安全安心を担保する大変重大な使命を三度にわたって拝命することを厳粛に受け止めている」「(法務省に対する)国民の信頼が損なわれていると言わざるを得ない。これまでの法務大臣の経験を活かして信頼回復に取り組みたい。国民にとって身近な司法の実現に全力を尽くしたい」と抱負を語った。

以下、主な質疑を紹介する。

ーー死刑制度について大臣のお考えを。

死刑制度については、我が国の刑事司法制度の根幹に関わる重要な問題であると考えている。国民、世論においても、こうした制度の考え方については様々な考え方がある。こうした世論に十分に配慮しながら、社会における正義の実現など種々の観点から慎重に検討すべき問題であると考えている。

国民世論多数の皆様が、極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えていて、殺人や強盗殺人などの凶悪犯罪が未だ後を絶たない状況などを鑑みると、罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむをないのであり、死刑を廃止することについては、現在のところ適切ではないのではないかと考えている

ーー(法務省に対する)国民からの信頼が損なわれている状況にある、負の遺産というべきものがあれば整理するとのことだが、現在どのような問題があるか、信頼回復に向けてどのような取り組みが必要と考えているか。

なるべく短時間のうちに実際に職員と率直な会話をさせていただき、対話の中で感じることについて整理していきたいと思っている。もちろん、刷新会議などがあるので、専門家の立場での検討結果もあるかと思うが、同時に私自身もできるだけヒアリングをさせていただき、その中から、過去の状況と比較してどうなのか、そして将来、さらに信頼回復するために、また信頼をもって国民の身近な司法を実現するために何が必要かについても併せて提案し、その中から具体化に向けて進めていきたいと思っている。

ーー検察庁法改正について見直すのか。見直さないこともあるのか。

先の国会に提出していた法律案についての、検察庁法改正部分について、本当に様々な意見があったと聞いている。意見をしっかりと踏まえながら、関係省庁ともよく相談しながら、最終的な判断をしていきたい。実際に協議の内容、意見交換の内容などについて整理して対応していきたい。

ーー人権問題を重点的に取り組むことの一つに取り上げられたが、法務省管内の外国人を収容する入管施設などで暴力が行われているという訴えが相次いでいる。この問題についてどのように取り組まれるか。

外国人の方々、入国しながら、また様々な理由で収容されているということだが、そうした中での実態として、どのような現状にあるのかについては、私自身、過去に実際に視察するなどしながら感じていたこともあるので、もう一度フレッシュな目で今の現状についても把握していきたいと思っている。

収容送還に関する専門家部会が森前大臣のもとで開催されてきている。その提言が寄せられているということだが、実態がどういう状況になっているのかを把握した上で、対策ということで提言されているので、私としてもそうした専門家の意見だとか、参与会議の皆さんの意見なども十分に把握して対応していきたいと思っている。

ーーヘイトスピーチが問題になっているが、どのように取り組むか

ヘイトスピーチについては、強調しなければならない人権の課題の一つとして大変大きなテーマになっている。新型コロナウイルスに感染された方々が、いわれのない中傷や引越しを余儀なくされるという事態もある。また、学校でいじめにあったという声も聞かれる。

そうした声も、通常の件数と比べると2割3割大きくなっていると指摘されている、そうした実態があるとのことなので、ヘイトスピーチに対してもしっかりと対応していかなければならない。SNSを通した人権侵害の問題についても、極めて深刻な問題だと理解している。なかなか難しい要素を含んでいるが、しっかりと見据えて取り組んでいきたい。

ーー(上川法相が)これまでの法務大臣在任中に死刑執行を命じたのは、計16人で、その中にはオウム真理教も含まれている。オウム真理教は国家転覆、クーデターを起こそうとしていたが、重要参考人である幹部を全員死刑にしたことで、最終的にオウム真理教の企ての全貌が究明されないまま事件に蓋がされたと言える。国民の安全な生活に対する重大な損失であると考えるが、大臣の考えは。

大変重要な指摘をいただいた。先般の死刑執行に関してだが、今指摘があったように様々な意見があることについては、十分に承知している。

その上で、一般論として申し上げるが、死刑は人の命を断つ極めて重大な刑罰なので、その執行に際しては、慎重な上にも慎重な態度で臨む必要があると考えている。同時に法治国家であるので、確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないということも、言うまでもないところ。

特に死刑判決については、極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対して裁判所が慎重な審理を尽くした上で、言い渡すものであるので、法務大臣としては裁判所の判断を尊重しつつ、法の定めるところに従って、慎重かつ厳正に対処すべきと考えている。

先般、指摘のあった死刑執行についてもこのような観点から慎重の上にも慎重を重ねて検討した上で、死刑執行命令を発したものである。

ーー少年法について、法制審議会の部会で少年法改正に向けた答申案が取りまとめられている。大臣は党の司法制度調査会長としてこの課題に携わってきたが、改めて改正に向けた現在の考えを。

少年法の改正の問題については、平成29年3月から法制審議会に設けられた部会において、検討が進められてきた。大きく少年の年齢を18歳未満とすることだとか、犯罪者の処遇を充実させるための刑事法の整備の在り方についての調査審議を行っていただいたところ、今年9月9日に部会においての意見の取りまとめが行われたと承知している。

今後、法制審議会の総会においても議論が行われる予定ということで、その調査審議の上で、できる限り早い時期に答申をいただきたいと考えている。

私自身、与党PTを立ち上げ、座長を務めさせていただいた。18歳19歳の刑事法上の取り扱いについての基本的な考え方をまとめたところだ。法制審議会は十分な専門家の立場での審議を尽くしていただくことが大変重要だと思っているので、総会においての答申をしっかりと待ちたいと考えている。

(画像・9月17日 法務省/撮影・弁護士ドットコム)

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