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弁護士法人が法テラスを提訴 「費用対効果理由に弁護士費用立て替え認めないのは違法」

弁護士法人が法テラスを提訴 「費用対効果理由に弁護士費用立て替え認めないのは違法」

【本記事は2020年9月10日に公開したものです】法テラスの民事法律扶助(代理援助)の申請に対して、要件にはない「費用対効果」を理由に制度の利用を認めなかったのは不法行為にあたるとして、青森県の弁護士法人「青空と大地」(代表弁護士・橋本明広弁護士)が法テラス本部に対して損害賠償請求訴訟を提起していたことがわかった(提訴は2020年5月18日)。

代理援助開始決定を待たずに、無報酬で受任


代理援助とは、経済的に余裕がない人が法的トラブルにあった場合に、法テラスが弁護士費用などの立替えを行う仕組みだ。

訴状などによると、「青空と大地」に所属する弁護士が、2018年4月に青森県内の住民から「30万円の支払いを求める訴訟を提起された」と相談を受けた。橋本弁護士は、相談者が着手金などを支払うのが困難と判断し、代理援助の利用を申し込み、代理援助の開始決定を待たずに無報酬で受任した。

申込みに対して、法テラス青森は審査結果を「保留」とし、最終的に「費用対効果の観点から代理援助になじまない」との理由で、援助不開始を決定したという。

橋本弁護士が問題視しているのは、法テラスが、代理援助を利用するための要件以外の事実を考慮して、代理援助を認めなかったという点だ。

法テラスの代理援助を利用するためには、以下3つの要件をクリアする必要がある。

・資力が一定額以下である

・勝訴の見込みがないとはいえない

・民事法律扶助の趣旨に適する

訴状では「要件のいずれにも該当するとき、援助を開始する決定をしなければならない。法テラス青森は義務に反し、違法な援助不開始決定を行った」として、費用対効果を理由に不開始決定したことが不法行為にあたると主張している。

「損害」は、得られたはずの弁護士報酬


また、訴状によると、「青空と大地」は、代理援助が認められていれば得られたはずの報酬を「損害」として主張している。

橋本弁護士は依頼人から報酬を受け取っていない。無償で代理人を務め、2019年6月に勝訴判決(請求棄却)を得ている。そのため、成功報酬など含め、代理援助が利用できていれば、法テラスから16万5160円が支払われたはずだと主張。

16万5160円の内訳は、法テラス基準に従った弁護士報酬(着手金)6万4800円、実費2万5000円、成功報酬4万5360円(着手金の7割相当)、出廷回数(8回)に応じた加算額3万円(請求排除額の10%)。このほか、遅延損害金の支払いなども求める。

橋本弁護士は、代理援助の開始決定を待たずに無報酬で受任した理由について「(依頼者から)相談を受けてから裁判が始まるまで1か月しかなかった」と説明。法テラスを提訴した意図について、「相談者の裁判で手一杯だったので、法テラスを提訴しようとはっきりと決めていたわけではないが、いずれ責任は取ってもらいたいと考えていた」「法テラスの報酬基準は一般的な報酬より低いが、それでも弁護士は依頼者を助けたいと考えている。法テラスは総合法律支援法の趣旨に基づいてきちんと運営してほしい」と語った。

法テラスは弁護士ドットコムタイムズの取材に対し、「係争中の事案について今の時点でコメントはできかねる」としつつも、「一般論として、費用対効果があるかどうかも審査の視点になってくることはあり得る」と述べた。

第1回口頭弁論期日は10月14日に、青森地方裁判所八戸支部で予定されている。

※画像は法テラスのホームページ

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