6割近くが「初回期日から6ヶ月以内に訴訟を終了するルール」を懸念【民事裁判手続IT化アンケートvol.3】

6割近くが「初回期日から6ヶ月以内に訴訟を終了するルール」を懸念【民事裁判手続IT化アンケートvol.3】

【本記事は2020年9月17日に公開したものです】弁護士ドットコムでは、民事裁判手続のIT化に関して、全国の弁護士にアンケートを実施した(実施期間:2020年7月17日から31日)。7月31日の時点で、182名の弁護士から回答を得た。アンケート結果の概要を5回に分けて紹介する。 3回目は、「裁判の利便性向上に関する懸念点」「事務所の対応に関する懸念点」についての結果をまとめた。

「書面による準備手続きを撤廃される可能性」への懸念 1割程度


民事裁判手続きのIT化による、裁判の利便性向上に関する懸念点を複数選択可能な方式で尋ねたところ、「利用者が裁判を受ける権利」の懸念点と同様に「証人尋問などをWeb会議にすると、裁判所に対して、適切に心証形成ができない可能性がある」(62.1%)との声が多かった。

また、特別な訴訟手続に当たる「両当事者が初回の期日から6か月以内に訴訟の終了させるルール」(58.8%)に対する懸念も大きい。

日弁連の意見書でも、「迅速化のための手段として、合理的かというと疑問を禁じ得ない。両当事者が初回の期日から6か月以内に訴訟の終了を目指す場合には、裁判所の適切な訴訟指揮下で、この手続を用いずとも訴訟を終了させることは可能である。また、当事者の予測可能性を高めたいのであれば、訴訟手続の計画的進行を図ったり、審理の計画を定めたりすることが可能である。あえて新しい特則手続を設ける必要性に乏しい」との見解が述べられている。

また、「地方の裁判所が閉鎖され、都市部に一点集中することによる司法過疎化」を懸念する声は、34.6%だった。

日弁連の意見書でも、裁判所へのアクセス拡充に対して理解を示した上で、「裁判所支部の統廃合など司法過疎を拡大する方向での議論は厳に慎まれるべきである」に懸念を示している。

一方で、「書面による準備手続を廃止される可能性」を懸念する声は、13.7%にとどまった。

自由記述の回答では、「適切な和解ができるかどうか」を不安視する声があった。

事務所としてのIT化対応 2割が「懸念点ない」


民事裁判手続きIT化による、事務所としての対応に関する懸念点を複数選択可能な方式で尋ねたところ、「新たなIT機器の購入が必要なのかどうか」(36.8%)、「依頼者や相談者への裁判の流れやIT機器操作に関する説明や案内」(31.3%)の2つが3割を超えた。

「事務員にどこまでの仕事を任せるか」(25.3%)、「事務員に対するIT機器の操作教育」(24.7%)、「事務所の弁護士に対するIT機器の操作教育」(24.7%)との回答だった。一方で、2割の弁護士が「(事務所としての対応への懸念は)特にない」と回答している。

自由記述の回答では、「依頼者出席の際の対応」「裁判所のシステムが時代遅れで、不便なものが導入されてしまった時の対応」「ビッグデータ解析によるAI弁護士の登場」「セキュリティが厳しい会社の端末でteamsが使えるかどうか」といった声が聞かれた。

1回目 民事裁判手続IT化への期待大 弁護士の8割が賛成
2回目 裁判IT化 4割以上が「非弁行為の横行」に懸念
4回目 IT機器操作の補助などで非弁行為を横行させないための対策とは

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