日弁連が定例会見を半年ぶりに再開 荒会長「声明や談話が実を結んでいる」

日本弁護士連合会(日弁連)は9月30日、約半年ぶりとなる定例記者会見を、東京・霞ヶ関の弁護士会館で開催した。定例会見はこれまで週1回を基本に開催されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、4月1日の開催以降、中止となっていた。


定例会見には荒中会長が会長就任から初めて出席し、これまでの新型コロナウイルスへの対応について説明。「新型コロナウイルスの影響で、人権が制約される場面がたくさんあり、(日弁連は)そのひとつひとつに丁寧に取り組んできた」とした。

日弁連では4月以降、「入管収容施設における『三つの密』のリスクの解消を求める会長声明」や「刑事裁判の期日延期等に関する会長声明」など、新型コロナウイルスについて、10本を超える会長声明や談話などを公表。荒会長は「4月以降、大きな制約を受けながら、10本を超える会長声明や談話、宣言文などを発出してきたが、会長声明や談話、決議が実を結んでいるものもある」とした。

具体的には、「給与ファクタリング」や「事業者向けファクタリング」の取締強化を求める会長声明を、5月と6月に発出したことに関して、「市民や個人事業主の窮状に乗じ、大きな被害が起きていたが、注意喚起したおかげで大幅に減り、大きな成果を得られた」とした。また、新型コロナウイルスの感染拡大で裁判期日の延期が相次いでいたことを受け、「4月に『刑事裁判の期日延期等に関する会長声明』を出し、民事裁判については早期再開を直接、裁判所に働きかけて、順次再開してもらった」と説明した。

「ヘイトスピーチ解消法」施行から約5年 川上弁護士「検証が必要」


同日の会見ではまた、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(ヘイトスピーチ解消法)の適正な運用を求める意見書を、9月24日に総理大臣や法務大臣、警察庁長官などに提出したことを明らかにした。

「ヘイトスピーチ解消法」は、外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向け、相談体制の整備や教育、啓発活動の充実など、国や地方公共団体の責務を示した法律で、2016年6月に公布・施行された。

意見書では、全国で教育活動を実施することや、インターネット上の差別的言動について、特定の個人を対象するものだけでなく、集団を対象にする場合でも積極的に削除要請することなどを、国や地方公共団体に要望している。

日弁連の人権擁護委員会で委員長を務める川上詩朗弁護士は、意見書を取りまとめた意義について、「ヘイトスピーチ解消法の施行から約5年が経過する段階で、一度しっかりと検証する必要がある」と解説。「『本邦外出身者に対する不当な差別的言動』となっているが、人種差別の問題がベースにある。改めて、差別や偏見の問題をなくすための体制ができているかを検証し、改善すべきところは改善を求める意見を述べることは今の時宜にかなっているのではないか」とした。
(撮影/弁護士ドットコム、2020年9月30日)

記事のタイトルとURLをコピー