証拠開示のデジタル化求め署名活動 「証拠入手に600万負担した例も」

後藤貞人弁護士や高野隆弁護士らが、刑事事件の証拠を電子データ化して交付するよう求める要望書を取りまとめ、11月11日から賛同者を募る署名活動を行っている。


要望書では、現在の証拠入手の手続きについて、「膨大な資料があるのに、自己負担でコピーしなければならない。600万円以上を被告人が自己負担した例もある」などの問題点を指摘している。

署名期間は11月29日までで、「証拠開示のデジタル化を実現する会」のホームページから署名できる。11月30日に要望書を河野太郎行政改革担当大臣や上川陽子法務大臣、林眞琴検事総長に提出する予定。

要望書の作成に携わった山本了宣弁護士によると、署名を開始した11日から17日までに約750筆の署名が集まった。3000筆を目標としていて、「弁護士だけでなく、市民の方からも署名を集めている。ホームページで証拠開示手続きの問題点をわかりやすく説明しており、要望書に賛同してもらえるようにしたい」と語った。

全ての証拠を入手できないケースも相当数ある


要望書では、刑事事件での証拠開示手続きについて、「捜査機関が1件の事件につきA4用紙で100枚から10万枚以上の資料を作成している。膨大な資料があるのに、現在の証拠開示手続きでは、全ての資料を紙でコピーする必要がある」と指摘。「国家を挙げてIT化が進められている時世の中で、刑事事件の証拠開示手続きは滑稽なほどに遅れている」などと指摘している。

要望書では、証拠開示手続きの問題点として、以下の4点を提示している。

・証拠入手の経済的負担が極めて大きい
・証拠の入手自体が困難
・被告人側の防御が困難になり、訴訟進行も遅れる
・コピーのために税金が浪費されている


このうち、経済的負担については、私選弁護事件では弁護士や被告人が証拠の謄写費用を自己負担しており、都市部では民間業者に証拠のコピー作業を依頼している点を指摘。モノクロで1枚40円、カラーで1枚80円前後を支払っていることから、「600万円以上を被告人が自己負担した例もあり、個人の経済的負担が極めて大きい」とした。

また、経済的理由から全ての証拠を入手できないケースがあるほか、業者がいない地域では、弁護士や事務員がコピーすることになり、手間がかかり過ぎるために証拠がコピーできない場合があるとして、「弁護士・被告人が全部の証拠を入手できないケースが相当数ある」ともしている。

証拠のPDFファイル化を提案


問題点に対する解決策として、要望書では「検察官が証拠の電子データを格納したメディアを作成し、弁護人に交付する運用で足りる」と説明。具体的には「警察署や検察庁が証拠のPDFファイルを準備し、弁護人が提出したポータブルハードディスクドライブに格納する」案を示している。

ハードディスクを利用する方法のメリットとして、ネットワークを利用しないため、セキュリティの問題がなく、物理的なメディアを利用することから、漏洩リスクも紙と大差がないと強調。「将来的には、認証手段を整備した上で、ネットワークを介して交付することが望まれしい」ともしている。

※撮影:弁護士ドットコムタイムズ(2020年11月18日)
「証拠開示のデジタル化を実現する会」のホームページ

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