少女を対象とした「ミスコンテスト」をめぐり、フランスで激しい論争が起きている。16歳未満の子どもが対象の「ミスコン」を禁止する法案がこのほど、フランス上院で承認され、下院での審議を待っている。
法が成立すれば、主催者はもちろんこうしたコンテストへ16歳未満が参加することを手助けしたり、参加を勧めたり、容認した人に、2年以下の懲役と最大3万ユーロ(約400万円)の罰金が科されることになるという。規制派は「6歳から12歳の女児に対して、母親が『女にとって重要なのは美しさ』と言って聞かせるような状況は、極めて有害だ」と主張しているようだ。
少女を対象にしたミスコンは、日本でも行なわれている。代表的な「全日本国民的美少女コンテスト」の募集年齢は12歳から20歳だ。アイドルの若年化も著しい日本の芸能界だが、未成年を対象としたコンテストや芸能活動に、何らかの規制はあるのだろうか。田中真由美弁護士に聞いた。
●日本では「保護者の判断」が重要
田中弁護士は「日本では、法で規律することはせずに、保護者の判断に委ねられているというのが現状です」と話す。
日本では、どのような議論があるのだろうか。
「子どもとミスコンを巡る議論を大きく2つに分けると、規制に賛成する側の意見は『ミスコンは子どもを性的な商品扱いするものだから、規制すべきだ』という主張で、反対側の意見は『政治が介入すべきではなく、親の判断に委ねるべきだ』という主張でしょう。こうした議論は、子どものミスコンが盛んなアメリカでも盛んになされているようです」
報道によると、フランスの「子どものミスコン」は各地の小規模な町で開催され、比較的落ち着いた雰囲気のようだが、規制派はアメリカのように過激化することを懸念しているようだ。日本ではどうだろう。
●子どもの「芸能活動」は労働法でも認められている
田中弁護士は「日本では、ミスコンについては『保護者の同意があれば参加できる』とされています」と指摘する。つまり、「親の判断」が重要視されているようだ。アイドルや子役タレントのような場合もそうなのだろうか?
「労働基準法では、原則的に中学生以下を働かせることはできませんが、映画や演劇などの芸能活動については、条件付きで例外的に13歳未満についても働かせることができるとしています。
深夜労働については時間規制があり、演劇などへの13歳未満の子役の出演は、午後9時までとされています」
アイドルグループの行うイベントで、一部の若いメンバーが途中退場することがあるのは、こうした規制があるからだ。ただ、子役タレント・アイドルがテレビなどでめざましい活躍をしているのを見ると、日本は、子どものタレント活動に寛容な社会と言えそうだ。