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上西議員へのテレビ局の取材手法「フェアだったか?」橋下大阪市長が記者に「逆質問」
大阪維新の会の橋下徹代表

上西議員へのテレビ局の取材手法「フェアだったか?」橋下大阪市長が記者に「逆質問」

国会を病欠した直後に「私的な旅行」をしたのではないかという疑惑を週刊誌やテレビなどに報じられた上西小百合衆院議員(維新の党)は4月3日夜、大阪市内で記者会見を開き、そのような事実はないと否定した。大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長も同席した記者会見では、旅行疑惑の真偽や男性秘書との関係について記者から質問があいついだ。

その一方で、上西議員や橋下代表からは、騒動が広がるきっかけとなった関西テレビの取材姿勢を問題視する発言が出た。上西議員は「人通りの多い商店街で突然、5人ぐらいのカメラを持った人に取り囲まれ、機材が通行人にぶつかるありさまだった」と混乱した状況を説明。橋下代表も「どんな取材だったのか」「取材はフェアだったのか?」などと、逆に記者に向かって問いかけた。

取材にあたった関西テレビの記者は「我々としては問題なかったと思っている」と慎重に答えていたが、繰り返し問われると言葉に詰まっていた。

●「取材拒否ですから」という発言の意味

話題となった映像は、3月23日に大阪市内で撮影されたものだ。

ビデオカメラを持った数人の記者たちに取り囲まれた上西議員が、カメラに向かって「だからね。あなた方はね・・・。これね、私、取材ね、事務所を通じてしか受けませんから、取材拒否ですから、映さないでください」となどと発言し、手でレンズを覆うような仕草をした。また、上西議員の男性秘書が発した「ええかげんにせえよ」「お前ワシの車に当たってるゆうとるんやゴルァ」といった暴言もおさめられていた。

この映像はフジテレビ系のテレビで放送されたほか、インターネットでも公開され、上西議員への批判が高まる契機となった。そのときの状況について、上西議員は記者会見で次のように説明した。

上西議員によると、取材を受けた現場は、人通りが多い心斎橋筋商店街だった。歩いていると、突如5人ぐらいのカメラを持った人が走り寄ってきた。名刺や記者証を見せるわけでもなく、上西議員本人は「何が起こっているのかわからない状況」だったという。

記者の質問に対して、13日は自宅で療養し旅行には行っていないと答えたというが、「そこは報道されていない」と上西議員は指摘した。その後も「一向に皆さんがたが落ち着いてくださらなかった」という。そして、「心斎橋筋商店街でカメラの機材が周りの通行人にぶつかるありさまでした」としたうえで、「取材拒否」発言の真意について、次のようなものだったと釈明した。

「『事務所を通してください』というのは芸能人みたいじゃないかと言われますが、私としては、ここでは周りの方々にあまりにも迷惑がかかるから、しっかりと時間と場所を決めてやっていただきたい。事務所に事前にアポイントを取ってくださいと、そういう形でお願いさせていただきました」

●関テレ記者「結果的にああいう取材の形になった」

上西議員の説明に対し、関西テレビの記者が手を挙げ、「弊社の取材について言及がありましたので」と切り出し、次のように話した。

「当日、上西議員にいろいろ確認したいと思って、うちの記者が確認をしようと、複数の記者が取材をしまして、その中であの場所にいらっしゃることがわかって、結果的にはああいう人数で取材する形になりました。

落ち着いた場所で取材をさせていただきたいというのは、我々も同じ思いでして、心斎橋でああいう形になったのは、それ以前に秘書の方を通じて取材をさせていただきたいというお願いをしたんですが・・・」と続けた。

上西議員が、それは秘書自身に対して取材をしたいという話だったと聞いている、文書の質問には回答しているなどと反論したところ、橋下代表が「ちょっといいですか」と割って入った。

●橋下代表が逆質問「どういう意味があったんですかね?」

橋下代表は「僕ら公人ですから、メディアのみなさんにチェックを受けるのは当然こと」としつつ、「ちょっと一点、確認させてもらいたいんですけれども」と、関西テレビの記者に質問をぶつけた。

「上西議員の周りをカメラが囲みましたけれども、あれは全カメラが関西テレビの取材と聞いているんですが、それは事実なんですか?」

関西テレビの記者は「うちの記者のみだったと思います。少なくともうちのオンエアに映り込んでいる記者はうちの人間です」と回答。

すると橋下代表は「僕が通常、取材を受けたりとかそういうときに、複数人がムービーを持って囲むということはあり得ない。カメラ複数で、一人を囲むというのは。(業務用カメラの)ENGがあれば十分だと思うんですけれども。(家庭用の)ムービーであそこまで、関テレの記者が一人の議員を囲んだのは、どういう意味があったんですかね?」と質問を重ねた。

関テレの記者は「結果的に、散らばっていた記者が一カ所に集まって、自然発生的にああいう状況が生じたと。威圧的ではないかという抗議も受けましたが、我々としては、問題なかったと思っています」と回答した。

●「そういう取材、経験したことない」

橋下代表は「僕が見た限りではENGのカメラが1台あり、ムービー5台が映り込んでいた」としたうえで、「僕はてっきり複数社が囲んでやっていると思っていたんですが、関テレさんだけで、カメラであそこまで囲んで、通行人の邪魔になるようなことを、分かっていながらやるというのは、ちょっとそこは違うんじゃないのかなと思いますよ」と続けた。

さらに「だからといって、『事務所を通じてやってください。あとは取材拒否』というのも、最悪です。議員の対応としてはね。最悪ですけれども、そこは報道各社のみなさんとしては、いかがなんですかね?  そういう取材は、自分が7年この仕事をやってきて、経験したことがないので・・・」と関テレ側に質問した。

関テレ記者が「状況としては、意図して威圧的なことをするためにやったことでは、もちろんないんですけれども。結果的にああなってしまいましたので。今、代表からもそういう指摘を受けましたので、その点については、しかるべき対応をさせていただけると・・・」と言葉を選んで回答すると、橋下代表は、「その点について、僕からもお聞きしたいんですが、いかがなんですか、それはフェアなんですか。問題ないんですか?」と問い詰めた。

だが、関テレ記者は、その質問に答えなかった。

そのため、橋下代表は会場を見渡して、「タウンミーティングじゃないんで、『問題がある』と考えている人に手を挙げてもらうわけにいかないですけれども」と続けた後、次のように自らの見解を述べていた。

「僕らは公人ですから、厳しく追及してもらうとか、権力チェックをやってもらうのは、当然そうだと思いますけれども、つくったような映像になるのは、ちょっと違うんじゃないのかなと。

(上西議員の)態度は悪いですよ。でも、それは、メディア側のほうにも、その経緯とか取材方法に何らかの特殊事情があるんだったら、そういうことも踏まえて映像を流してもらわないと。

あれを見る限り、ものすごく横柄に、複数社の取材の中で追い払うような形でやっているような形になっていますけれども、一社で一人をあそこまでムービーで囲むっていうのは、ちょっとフェアな権力チェックじゃないんじゃないのかなと思うんですけどねえ」

(弁護士ドットコムニュース)

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