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「21世紀の資本」著者ピケティ氏「低所得者に減税すべき」 格差拡大への対策を強調
来日中のフランス人経済学者トマ・ピケティ氏

「21世紀の資本」著者ピケティ氏「低所得者に減税すべき」 格差拡大への対策を強調

世界的ベストセラー「21世紀の資本」の著者で、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が1月29日、東京都内の有楽町朝日ホールで開かれたシンポジウムに登壇し、日本社会の「格差拡大」に警鐘を鳴らした。

「21世紀の資本」は、各国の税務データを収集・分析したうえで、「資本主義社会では格差は拡大する」という結論を導いた学術書。フランスで2013年に発売されて以降、アメリカなど世界十数カ国で累計100万部を突破した。昨年12月に出版された日本語版も700ページ以上の厚さにかかわらず、13万部のヒットとなっている。

いま世界的に注目されている経済学者の登場とあって、この日の講演は、定員700人の会場がほぼ満席になった。

ピケティ氏は日本の格差の現状について「アメリカほど大きくないが、先進国の中で最も平等というわけではない」と指摘した。特に、経済成長率が低迷しているにもかかわらず、国民の所得全体に占める「高額所得者」の所得シェアが拡大していることを問題視している。

「高成長の時代であれば、誰もがその恩恵を受けられるので、それほど問題ないが、低成長の時代なのに所得上位10%のシェアが増えている。深刻な問題だ」と語り、相対的に高額所得者層に、富が集中する傾向にあることを指摘した。

さらに、ピケティ氏は、低成長の国では、過去に累積した資産、つまり相続に依存した社会になることを解説した。

格差拡大を防ぐための解決策として、ピケティ氏は「低所得者、中所得者の労働所得に対する税を減らし、不動産などの資産に対して増税することが、日本の現状にあうのではないか。特に若い世代にとってはプラスになる」と述べた。

(弁護士ドットコムニュース)

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