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<冬コミレポート>弁護士がコミケで「判例パロディ同人誌」を売っていた
「大嘘判例八百選」の新刊は昼過ぎに完売。

<冬コミレポート>弁護士がコミケで「判例パロディ同人誌」を売っていた

東京・お台場の東京ビッグサイトで12月28日、29日、30日の3日間にわたって開かれた「コミックマーケット87」。マンガ・アニメやゲームなどの同人誌即売会というイメージが強いため、一見すると法律とは無縁に思えるが、30日の「評論」ブースでは、法律関係の同人誌がいくつも販売されていた。(取材・渡邉一樹)

●「大嘘判例八百選」新刊はすぐ完売に

人混みに揉まれながら、満員の会場を歩くと「大嘘判例八百選」という同人誌が目にとまった。パロディ感が満点の名前からも伝わってくるとおり、判例をおもしろおかしく紹介・解説する同人誌で、お笑い要素にピリッとした皮肉が混ざっているのが特徴。シリーズ4冊目の新刊「第4版」は30ページ・300円で、法科大学院問題についての評論や、判例検索データベースをクロスレビューするなど、まじめな内容も含まれている。

編集・発行人の「刑裁サイ太」さんは「判例検索が趣味なんです。2年前の冬から参加していて、今回で5回目。最初は30枚のレジュメを40部だけ印刷して持ってきたんですが、それが昼過ぎには売り切れた。2回目からはきちんと製本するようになりました」。話を聞いている間にも、引っ切り無しに購入希望者が訪れる。新刊は180部を用意したが、昼過ぎ早々には完売してしまったという。

「匿名で活動をしているので名前は明かせませんが、関東地方で弁護士をしています」と語るサイ太さん。なぜ、忙しい仕事の合間を縫って、コミケに参加しているのかと聞くと「単純にやっていてむちゃくちゃ楽しいからですよ」。普段からツイッター(@uwaaaa)で盛んに情報発信をしているうえ、コミケには一般参加者として訪れていたこともあり、コミケで発信というのは自然な流れだったのだという。

●「法律擬人化マンガ」も

会場を回ると、かわいいマンガキャラが表紙になった「法学のすゝめ」という本も目にとまった。こちらは「憲法」「刑法」といった法律を擬人化して、それぞれの法律の役割や関係性を、四コマスタイルで紹介する内容。作者は漫画家の水知せりさんだ。以前、大学図書館の司書として法律コーナーを担当していた時に描き始めた。知財法や刑事法など、シリーズを何冊も作っているという。

二次創作の作品が目立つコミケという場所がらか、「表現の自由」についての本や「著作権法」の解説本が売られていたほか、何かと話題の「ブラック企業」を取り上げた本もあった。

公式発表によると、この日は約21万人もの人が会場を訪れていたという。有名サークルのスペースには気の遠くなるような長蛇の列ができていたし、コスプレ会場はコスプレイヤーとカメラマンでごった返し、週末の新宿駅もかくやの混雑ぶり。

そんな状況にもかかわらず、行列に並ぶ人たちが「最後尾」と書いたカードをバトンリレーしたり、同じアニメのキャラに扮した人たちがその場で意気投合したりと、参加者たちの間にある「仲間意識」が強く印象に残る一日だった。

(弁護士ドットコムニュース)

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