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児童ポルノ「単純所持」に罰則・・・出版業界は「家宅捜索の危険性も」と批判
国会ではさまざまな法案について議論が行われている

児童ポルノ「単純所持」に罰則・・・出版業界は「家宅捜索の危険性も」と批判

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子どものわいせつな写真や画像などの所持を禁じる児童ポルノ禁止法の改正案が、6月5日の衆院本会議で与党や民主党などの賛成多数で可決された。今後、参議院での審議を経て、6月20日までに成立する公算だ。

今回の法改正は、児童ポルノの単純所持を禁止することが大きな柱だ。

昨年5月、自民・公明・維新の3党が提出していた改正案は撤回され、民主党と結いの党を加えた5党の実務者で合意した修正案が衆院法務委員会の委員長提案の形で提出された。新たな改正案によると、「みずからの性的好奇心を満たす目的」で児童ポルノを所持した場合に、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科される。法律の施行から1年間は罰則を適用しない。

●「依然、定義が曖昧なまま」

児童ポルノの定義についても、変更があった。昨年の改正案では、「衣服の全部又は一部を付けない児童の姿態であって」「性欲を興奮させ又は刺激するもの」とされていたが、この2つの文言の間に「殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調させるものであり」という文言を付け加え、より限定的なものにした。

さらに、ネットなどで話題になっていたのは、児童ポルノに漫画やアニメ、CGが含まれるかどうかだ。昨年の改正案では、漫画やアニメ、CGの扱いについては検討事項として記載されていたが、今回の修正案では削除された。

ただ、今回の改正案については、業界団体などから反対の声が上がっている。日本雑誌協会と日本書籍出版協会は6月5日、共同で「表現規制につながる危険性をはらんでいる」と反対声明を発表した。

児童ポルノの定義に文言が追加されたことについて、「依然、定義が曖昧なままであり、いかようにも解釈されうる欠陥がある」と批判。単純所持禁止の規定についても、「そうした事実はどのように証明できるというのだろうか」としている。さらに、「捜査機関が過去に入手した物を理由に家宅捜索を行う危険性さえある」と懸念を示した。

(弁護士ドットコムニュース)

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