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<高槻少女殺害>少年少女のリスキーな「深夜徘徊」 防ぐためのルールは?
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<高槻少女殺害>少年少女のリスキーな「深夜徘徊」 防ぐためのルールは?

大阪府高槻市で中学1年の平田奈津美さん(13)が殺害され、同級生の男子生徒(12)が行方不明になっている事件で、2人とみられる男女が防犯カメラに写っていたことがわかった。

報道によると、8月13日午前1時から5時ごろ、京阪本線寝屋川市駅近くの商店街を、2人とみられる男女が行ったり来たりする様子が防犯カメラに写っていた。2人はその後、何らかの事件に巻き込まれた可能性がある。

今回の事件に限らず、少年や少女が深夜に出歩くことには大きな危険が伴うだろう。法律では、少年、少女の深夜徘徊をどのようにして防ごうとしているのだろうか。元裁判官の田沢剛弁護士に聞いた。

●条例・法律で規制されている

「各都道府県で定められている青少年健全育成条例では、18歳未満の青少年の深夜外出の制限について、ほぼ同内容の規定を設けています。

具体的には、次のような内容です。

(1)保護者は、正当な理由がある場合を除いて、深夜(午後11時から翌日午前4時まで)に青少年を外出させないように努める。

(2)第三者は、保護者から頼まれたり、同意を得た場合、その他正当な理由がある場合を除いて、深夜に青少年を連れ出したり、同伴したりしてはならない。

ほかにも、(3)第三者は、深夜に外出している青少年に対し、その保護及び善導に努める、ことが定められています。

また、(4)カラオケボックスやマンガ喫茶などの事業者に対しても、青少年を深夜に入店せないようにする義務なども課しています。

(1)や(3)は努力義務なので罰則はありませんが、(2)や(4)は30万円以下の罰金に処せられます。今回事件のあった大阪府も同様です。さらに、16歳未満の場合は、対象となる時間帯を『午後8時から翌日午前4時まで』とするなど、より厳しくしています」

法律による規制はないのだろうか。

「風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)では、青少年のたまり場になりやすいゲームセンターなどについては、18歳未満の少年少女たちが午後10時以降に入店してはならない旨を店舗入口に表示する義務を課しています。

また、実際に入店させた場合には、より厳しい罰則を設けるなどしています」

●地域住民の協力が重要

少年少女が被害者となる事件を防ぐために、どうすればいいのだろうか。

「わが国の将来を担うべき少年少女が事件に巻き込まれることは、極めて遺憾です。こうした事件を防ぐために、深夜徘徊をさせないようにしていかなければなりません。

そのためには、家族のみならず地域住民等の協力が重要であることは言うまでもありません。しかし、一般の人は危険に巻き込まれることを避けたい心理が働くでしょう。特に、深夜徘徊をする複数人数の青少年に声掛けを行うことは危険を伴います。

その意味では、警察による街頭補導を強化することがやはり必要でしょう。少年警察活動規則で、深夜に徘徊する少年少女は補導の対象になっています。

地域住民等に協力を求める場合でも、警察や教育関係機関と連携した何らかの組織化が必要ではないでしょうか」

田沢弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

田沢 剛
田沢 剛(たざわ たけし)弁護士 新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
1967年、大阪府四条畷市生まれ。94年に裁判官任官(名古屋地方裁判所)。以降、広島地方・家庭裁判所福山支部、横浜地方裁判所勤務を経て、02年に弁護士登録。相模原で開業後、新横浜へ事務所を移転。得意案件は倒産処理、交通事故(被害者側)などの一般民事。趣味は、テニス、バレーボール。

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