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憲法は「権力という野蛮な動物」を管理するためにあるーー小林節氏が語る「立憲主義」
登壇者たち

憲法は「権力という野蛮な動物」を管理するためにあるーー小林節氏が語る「立憲主義」

70回目の終戦記念日を間近に控えた8月7日、東京弁護士会は戦後70年企画として「伝える 平和と憲法の意味」と題したシンポジウムを開催した。基調講演とパネルディスカッションには、憲法学者の小林節慶大名誉教授、元NHKアナウンサーでフリージャーナリストの堀潤さん、元日弁連会長の平山正剛弁護士が登壇し、「平和と憲法」について、それぞれの思いを語った。

●国民が「プロパガンダ」に利用されないために

堀さんは、ジャーナリストの立場から、戦争に向かう国家がプロパガンダ(政治的な宣伝)によって国民を利用する危険性を指摘。「無知であることと、無関心であることといった国民側の問題も、真摯に受け止めなければならない」と述べる。

「ナチスドイツは、『(第一次世界大戦で)失った誇りを取り戻すんだ』とプロパガンダ戦を展開した。きれいな音楽、きれいな風景、きれいな物語を発信して、ドイツ国民の支持を得て、彼ら(ナチス)は栄えていった」とナチスがドイツで支持された経緯に触れ、「同じ轍を踏まないために、私たち市民社会側が『自分たちでどう防御できるのか』ということをしっかり考えていかなければならない。そのために、メディアは、徹底的に情報を公開していかなければならない」と報道の役割を訴えた。

●憲法は「権力という野蛮な動物」を管理するためにある

議論は、衆議院を通過し、現在参議院で審議が続いている安保法案にも及んだ。

政府・与党の安保法案を「違憲」と批判する小林名誉教授は、仮に法案が成立したとしても、選挙によって事態を打開できると主張した。

「彼ら(自民党)に政権を与えたのは我々だ。その責任を取らなければならない」としたうえで、「安倍政権は、閣議決定で憲法解釈を膨らませた。こちらも、政権交代をして、閣議決定でもとに戻せばいい。成立した安保法案を廃止する法案を通せばいい」と訴えた。

また、「権力は人間が担うから誤作動をしかねない。憲法という道具を使って、権力という野蛮な動物を管理する位置関係にある。間違っても、権力者が憲法を使いこなして、国民をしつけるといったバカなことを言わせてならない」と立憲主義の意義を語った。

小学4年生のときに終戦をむかえ、戦争で2人の兄を失くしたという平山弁護士は「今、我々が平和の旗である憲法9条を下ろしたら、戦後70年間築いてきた平和、信頼を損なうことになる。我々はそう思っていなくても、近隣諸国からみれば、戦前のように、戦争を辞さない国になるのかと誤解される可能性がある。だから、絶対にこの旗を降ろしてはならない」と平和憲法の重要性を訴えた。

(弁護士ドットコムニュース)

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