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中国の人権派弁護士ら200人拘束「不当な制約がなされてはならない」日弁連が批判
中国・北京

中国の人権派弁護士ら200人拘束「不当な制約がなされてはならない」日弁連が批判

中国各地で人権派弁護士が相次いで拘束されていることを受け、日本弁護士連合会(村越進会長)は7月24日、「深く憂慮する」「不当な制約がなされてはならない」として、弁護士の職務活動や表現の自由の保障を求める声明を発表した。

報道によると、中国当局は、「社会秩序を乱す重大犯罪グループ」として、「北京鋒鋭弁護士事務所」の主任弁護士、周世鋒氏や著名な女性弁護士の王宇氏らを拘束している。一時拘束された弁護士や活動家も含めると200人以上にのぼるという。

声明で村越会長は、国連で採択された「法律家の役割に関する基本原則」を挙げ、「弁護士がその職務活動及び表現活動を理由に捜査を受け、勾留されているとすれば、上記の基本原則に明白に違反する」と中国当局の対応を批判した。

声明の全文はこちら。

●中国の弁護士の一斉連行を憂慮し、弁護士の職務活動の保障等を求める会長声明

中国において本年7月9日以降、人権活動に携わる多数の弁護士らが一斉に連行され、その数は一時的な連行・拘束も含めて200人以上に及ぶとも報道されている。今回の一斉連行は、報道によれば、弁護士の職務や活動を問題にしてなされたとのことである。

1990年に第8回国連犯罪防止刑事司法会議が採択した「法律家の役割に関する基本原則」は、「法律家は、裁判所、法廷その他の法的・行政上の機関において、書面や口頭の主張または専門的外観において善意でなされた関連する発言について、民事及び刑事上の免責を享受するものとされる」(20条)とし、また、法律家の表現の自由をはじめとした諸権利を確認した上で、「法律家が適法な行動や適法な組織に参加したことの故をもって、彼/彼女らの弁護士としての活動が制限されることがあってはならない」(23条)と述べて、法律家の職務及び表現活動を保障している。上記弁護士がその職務活動及び表現活動を理由に捜査を受け、勾留されているとすれば、上記の基本原則に明白に違反するものである。

日本弁護士連合会は、今回の中国の弁護士らの一斉連行の報道に接し、深く憂慮する。弁護士の独立は、弁護士が法の支配を促進する職責を全うするために重要なものである。当連合会は、上記基本原則に照らし、弁護士の職務活動及び表現の自由が保障されるべきであり、これに対する不当な制約がなされてはならないことを強く訴える。

2015年(平成27)7月24日

日本弁護士連合会

会長 村越 進

(弁護士ドットコムニュース)

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