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「自衛隊員が海外の市民を殺傷する事態が生じかねない」日弁連が安保法制法案を批判
村越進・日弁連会長(左)と山岸良太弁護士

「自衛隊員が海外の市民を殺傷する事態が生じかねない」日弁連が安保法制法案を批判

「日弁連は、人権擁護を使命とする法律家団体だ。法律家の団体として、憲法違反の安全保障法制に反対する」。日本弁護士連合会の村越進会長は5月20日、東京都内で記者会見を開き、政府が国会に提出した安全保障関連法案に対して、強く反対する意思を表明した。

政府の法案は、自衛隊法などを改正して「集団的自衛権」を実際に行使できるようにするものだ。だが、そのような武力行使は、現在の憲法9条に違反するとの声明を、村越会長はすでに発している。この日は、日弁連憲法問題対策本部の山岸良太・本部長代行が会見に同席し、政府法案の問題点をより具体的に指摘した。

●「法案を読み込まないと、危険性がわからないようになっている」

山岸弁護士は「憲法の前文と9条から、かろうじて認められるのは、日本が攻められたときに、正当防衛的に反撃をすることだ。積極的に海外に出て、武力行使をすることは、今の憲法の上では認められない」と指摘。「これを立法で変えようとすることは、立憲主義に違反している」と批判した。

国会で審議が予定されている安全保障関連法案は10にのぼる。山岸弁護士は「想定している事態について、法案によって微妙に書き方が違っている。よほど読み込まないと、その問題点や危険性がわからないようになっている。法律家の団体として、条文をしっかり読み込んで、問題点を指摘していきたい」と述べた。

また、山岸弁護士は「日本の自衛隊はこれまで、海外に行っても、一発の銃弾も撃っていないし、一人の犠牲も出ていない。法案が成立すれば、自衛隊員が海外の国民・市民を殺傷する事態が生じかねない。これまでは、日本は戦争しない国ということで歓迎されていたが、その印象が変わってしまう。国内でも、テロ行為の危険を考えなければならなくなる」を危機感をあらわにした。

(弁護士ドットコムニュース)

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