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「性同一性障害」児童生徒への配慮――文科省が通知した「具体的な事例」の中身とは?
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「性同一性障害」児童生徒への配慮――文科省が通知した「具体的な事例」の中身とは?

心と身体の性別が一致しない「性同一性障害」の児童・生徒に対して、学校はどのように対応するべきなのか――文部科学省は4月30日、その具体的な方法を、各地の教育委員会などに初めて通知した。

通知は、性同一性障害の児童・生徒について「特有の支援が必要な場合がある」として、さまざまな対応方法を挙げている。

学校での支援体制については、その内外に「サポートチーム」を作ることのほか、校内で支援委員会を開いたり、校外でケース会議を開催しながら対応を進めることを推奨している。さらに、医療機関との連携や、保護者との関係構築、教育委員会による支援についても、注意点を挙げている。

●具体的な「支援の事例」は?

また、文科省は、具体的な「支援の事例」として、次のような施策を挙げている。

【服装】

自認する性別の制服・衣服や、体操着の着用を認める。

【髪型】

標準より長い髪型を一定の範囲で認める(戸籍上男性)。

【更衣室】

保健室・多目的トイレ等の利用を認める。

【トイレ】

職員トイレ・多目的トイレの利用を認める。

【呼称の工夫】

校内文書(通知表を含む)を児童生徒が希望する呼称で記す。

自認する性別として名簿上扱う。

【授業】

体育または保健体育において別メニューを設定する。

【水泳】

上半身が隠れる水着の着用を認める(戸籍上男性)。

補習として別日に実施、またはレポート提出で代替する。

【運動部の活動】

自認する性別に係る活動への参加を認める。

【修学旅行等】

1人部屋の使用を認める。入浴時間をずらす。

●約6割の学校が「特別の配慮」を実施

文科省が2013年4月~12月に全国の小中高校で調査した結果によると、児童・生徒本人が性別違和を抱き、本人・保護者が「性同一性障害」を認識しているケースとして、606件の報告があった。報告があったのは、高校段階が66.5%で圧倒的で、中学段階は18.2%。小学校段階は15.4%だった。このうち学校が「特別の配慮をしている」のは、約6割だった。

なお、606件はあくまで学校が把握しているケースでの任意回答にすぎず、児童・生徒が望まない場合は回答しなくてもよいため、全国に「これだけしかいない」というわけではないとのことだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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