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<原発事故賠償>「東電が和解案を拒否できないように」日弁連が「拘束力」提案
日弁連の声明

<原発事故賠償>「東電が和解案を拒否できないように」日弁連が「拘束力」提案

東日本大震災から4年を迎えた3月11日、日本弁護士連合会の村越進会長が記者会見を開き、声明を発表した。声明では「いまだ被災地の復旧・復興は十分ではない」として、今後も被災者への支援を続けていくことを表明した。

そのうえで、「生活基盤の確保と生活環境の整備」や「原発事故による損害の完全な賠償」が重要な課題だと指摘し、問題点の改善を訴えた。原発事故の損害賠償については、被害者と東電の和解仲介で問題が起きているとして、より被害者寄りの施策を実施することを求めている。

●東電が「和解案」を拒否するケースが目立つ

福島第一原発の事故で損害を受けた人々のために現在活用されているのが、「原子力損害賠償紛争解決センター(ADRセンター)」による和解仲介制度だ。

福島などに住む原発事故の被害者が、加害者である東京電力に損害賠償を求めても、正式な裁判では被害者の負担が大きく、裁判所の処理能力にも限界がある。そこで、簡易で迅速な手続によって損害を回復することを目指してできたのが、ADRセンターだ。国の機関が仲介して、被害者と東電の和解をとりもつ。4~5か月での解決が見込める制度だ。

これまで東京電力は、ADRセンターが提示した和解案を尊重することを誓約してきた。しかし、最近、ADRセンターが提示した和解案を、東電が拒否する事案が目立っているという。日弁連は「このような状況が続けば、ADRセンターへの信頼は失われ、その存在意義が問われることになりかねない」と危機感を示す。

そのうえで、日弁連は、東電が和解を拒否できないように、和解案に「片面的な拘束力」を与えることを求めている。被害者は納得できなければ和解仲介案を拒否できるが、東電は拒否できないようにするのが狙いだ。

このほか、村越会長は声明の中で、仮設住宅の供与期限の延長や、福島県内でしか行われてこなかった健康診断の拡充、震災関連死の認定基準の見直しなどを求めている。

村越会長は会見で「4年が経って、(震災が)風化しつつある。風化させないために、これからもさまざまな取り組みをしていきたい」と意気込みを語っていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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